阪神が来季の1軍打撃コーチとして招へいする水谷実雄氏(64)=野球評論家=が17日、宝塚市内でサンケイスポーツの取材に応じ、球団からの就任要請を認めた。
言葉を選びながらも同氏はベテランにも練習量を求めることなど、打撃強化への熱い思いを語った。
熱血漢らしい、言葉があふれ出た。球団が来季の打撃コーチとして招へいに動いていることが判明した水谷氏。宝塚市内でのサンケイスポーツの取材に対し、就任要請については認めながらも「何も決まっていない」と話すにとどめた。シーズンを戦うチームや、現在の首脳陣への気遣いもある中で、かつて2軍コーチとして仕えた虎への思いを語った。
まず「シーズン中やし、ネット裏からの印象では」と前置きした上で、打撃強化への持論を語った。
「練習量を増やすこと。みんな不本意だと思うよ。練習量もおのずと増えるでしょう。頭で解決する問題じゃない。振らんといけん」
阪急、広島などでコーチを歴任し、広島時代は前田智や江藤らを育てた。その経験から出した猛虎復活プランは単純明快。
「一日の内で自分で練習する時間帯が必ずないとイカン。それはスイング。自分の家でやるんよ。毎日のことやから、考えて自分が打つようにせなアカン」
猛練習あるのみ、だ。そこには、主力への特別な配慮は必要ない、と説く。
「尊重はしないといけないが、やらなアカンことだけは間違いない。現実的には打ててないわけだから、気を遣って、という暇はないんじゃないかな。全員が、下手くそだと思って取り組まないと」。主力がくすぶる今季。過去の貢献度は尊重すべきだが、チーム低迷でゼロからの出発となれば、話は別だ。
新井については「来年はかなり必死なはず。本人もわかっていると思う。もう一回、生まれ変わらないといけない」と話し、マートンにも「3年前に戻らないと。よくしようと思ってタイミングのとり方とか変えたんだろうけど、結果がでんもんな。ストライクゾーンの話は禁句。どうしようもないから」と原点回帰を促した。
弱さを直視し、必死に練習することが再建への第一歩。手本はある。今季限りでの引退を表明した金本。練習量は他選手を圧倒する。その姿勢を受け継げば自然とチームは強くなる。
「(金本みたいな)ああいう選手を作っていかないと。それが伝統になるから」
バットを振って、振って、振りまくれ。数多くの選手を一流にしてきた熱い男の言葉が、再建の一助となる。