届け、初勝利――。未曽有の被害をもたらした東日本大震災から11日で1年。復興支援試合としてプロ野球の日本代表―台湾代表が10日に行われ、日本は楽天・田中将大投手(23)が先発。2回1失点で、日本代表として8試合目で記念すべき初勝利を挙げた。
決して忘れてはならない3・11。復興支援の責務と日の丸の誇りを胸に熱投した背番号「18」のエース。09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来3年ぶりに編成され、今年から常設化された日本代表「侍ジャパン」が初陣を飾った。
1球ごとに大歓声がとどろく。マウンドの田中は背負うものの重さをかみしめていた。しかし、プレーボールから6球目。09年WBC台湾代表の2番・潘武雄(パンウーション)に外角高めの直球を左翼席最前列に運ばれた。振り向きざまに目を見張ると、頬がゆがんだ。
「この試合の意味を自分なりに考えてマウンドに上がりました。僕たちは東北に本拠を置くので強い思いがあった。だから悔しさしか残っていない。打ち取った当たりと思ったけれど、思ったより飛んでいた」
それでも、らしさは見せた。徐々に調子を上げて2回は最速147キロをマークし、台湾打線から計3本のバットをへし折った。魂の35球で、代表初勝利を手にした。