先日、近所のおでん屋の「お母さん」に教えてもらった。「疲れた」と口にした時は、「でも、よく頑張った」などと自分を肯定する言葉を続けると、脳にいいという。
50代の息子と店を切り盛りするお母さんのネタ元は、テレビで最近知った脳科学者。気になって調べると、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』の著書がある西剛志(たけゆき)さんだと見当がついた。
同書は今井書店グループの調べで、2月から2カ月間にわたりベストセラーのトップ10入りを果たしており、高齢化が進む山陰地方でも人気の一冊だ。
西さんいわく、「疲れた、嫌になる、無理」といった否定的な言葉は、脳にマイナスのイメージを与えて脳の老化を早め、本当に疲れたような状態になるらしい。
万葉集に「言霊の幸(さきわ)う国」という歌の文句があるように、日本人は古来、言葉に魂が宿り、不思議な力が働くと信じてきた。確かに「どうせ負ける。
私なんて…」などとマイナスの言葉を発すると、波動や気となって伝わるのか、場や結果が悪化した経験がある。
新生活を始めた人は、環境に慣れつつも「疲れた」と口にすることが増える頃だ。コロナ禍の3年間を取り戻すかのような世間の活気に気後れしている人も多いだろう。世間の物差しに惑わされず、無理はしないように心がけたい。西さんによると脳に良い最高の言葉は「ありがとう」。まずは自分に伝えよう。