健康のためにはウオーキングは1人がいい? 運動の最新エビデンス | あなたの健康が未来を左右する!!

あなたの健康が未来を左右する!!

健康の知恵が詰まったサイト!美容と健康は一日にして成らず!「美容を知ることは、健康な体をつくること!」今日から始めましょう。

 

 

どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。

外で運動するには、最適の季節。そこで、今回は、運動に関する最新のエビデンスを紹介しよう。

■健康のためには1人歩きがいい?

早歩きは健康にいい有酸素運動の1つ。しかしパートナーと一緒に歩くと、速度が落ちてしまい、運動効果が劣ってしまうようだ。米国の研究で明らかになった(データ:Gait & Posture 85 (2021) 285-289)。

研究に参加したのは72組のカップル。パートナーとなってからの期間は平均で19.9年。全員に片道7.62mの道をおしゃべりせずに往復してもらい、歩行速度を測定した。

歩く条件は、「1人で歩く」「パートナーと一緒に歩く」「パートナーと手をつなぎながら歩く」の3つ。また歩く道の条件も、障害物のない道と、高さ1~25cmの4つの障害物(フォームブロック)を置いた道の2つが用意された。参加者にはそれぞれの条件で2回ずつ歩いてもらった。

データが揃っていた141人(25~79歳)を対象に解析した結果、1人で歩いているときに比べて、パートナーと一緒に歩いているときの速度は下がり、平均で5.4cm/秒減少した。手をつないでいるときはさらに歩く速さは下がって、7.4cm/秒減少した。これらの傾向は、性別や年齢、交際期間、日中の身体活動量で調整しても変わらなかった。

また障害物のある道では、障害物のない道に比べて、歩行速度は5.5cm/秒減少した。しかも年齢が高くなるほど、2つの道で速度の差は大きくなり、年齢が10歳上がるごとに、速度の差は1cm/秒ずつ大きくなった。

男女で分けると、1人で歩いている場合でも、女性は男性よりも障害物のある道では速度は大きく下がり、障害物のない道に比べて7.6cm/秒の減少、男性は5.6cm/秒の減少だった。

歩行速度が減少すると、健康への効果は少なくなってしまうわけだが、パートナーと一緒に歩くことは、歩行行動を増やす、社会的行動につながるなど、重要な利点があると研究者らは書いている。そのため今後は、パートナーと歩いたときも2人の歩行速度が上がる方法を検討する必要があるとしている。

また、たとえ速度が遅くなったとしても、歩かない場合に比べれば、死亡リスクを低減するなどの健康上のメリットはある。特に高い強度の活動が難しくなる高齢者においては、歩行速度を上げることよりも、座っている時間を減らすことの方が重要であるとも述べていた。

(文 八倉巻尚子=ライター)

[日経ヘルス2021年夏号の記事を再構成]※情報は掲載時点のものです