高齢の親が食べてはいけない「身近な食材3選」 「脳のゴミ」が密接に関係する認知機能の低下 | あなたの健康が未来を左右する!!

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親が60歳を超える高齢だと気になるのが認知機能の低下。もしも、ちょっとした親の変化が気になるなら、食生活の改善を促したほうがいいかもしれません。脳神経内科の専門医、内野勝行氏の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』より、脳に悪い食材、いい食材について一部抜粋し、再構成してお届けします。

外出自粛の影響で高齢者の認知機能が低下

 「何をしにここに来たかと考える」

 これはシルバー川柳の入選作品です。こういう経験は60代以降の人なら誰にでもあることかもしれません。

 「テレビに出ている芸能人の名前が思い出せない」

 「前日食べたごはんが何だったか忘れた」

 「スーパーで買おうと思っていたものを買い忘れることがある」

 といったことも珍しくないでしょう。

 

 もしも、あなたの親御さんが、こんな状況だとしたら「ひょっとして認知症が始まっているのかな」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。しかも、コロナ禍の影響で生活スタイルや働き方が変わり、あまり外に出なかったり、人と接する機会が減っていたりすることで、脳への刺激が減り、より認知機能が低下しやすい状況になっているのです。

 

 コロナ禍以前と比較して、「あれ!? うちの親、もの忘れが目立つな」とか「以前と比較して、集中力に欠けるような気がするなあ」と思ってドキッとすることがあれば、認知機能の低下を疑ったほうがいいかもしれません。

 

 あなたは、認知機能低下の本当の原因をご存じでしょうか。

 それには、「脳のゴミ」が密接に関係しています。

 

 「脳のゴミ」という言葉を初めて聞くという方もいるかもしれません。一体どのようなものなのでしょうか?

 近年もっとも注目を集めているのが、アミロイドβ(ベータ)という物質です。簡単に言うと、脳に悪影響を及ぼす毒素で、脳細胞を死滅させ認知症を引き起こす‟真犯人”と考えられています。

 

 このアミロイドβが脳に溜まるとアミロイド線維という硬い糸くずのようなものになり、それが脳神経細胞のまわりに付着して溜まっていきます。そして、その量が増えると脳の機能が低下するというわけです。認知症を引き起こす病である「アルツハイマー病」も、アミロイドβの蓄積によるものであることがわかっています。

 

 世界中の研究者たちは、認知症を克服するためにアミロイドβをいかにして脳に溜めないか、排出するかに関しての研究を進めています。たとえば、米国のスタンフォード大学では、アミロイドβに関するさまざまな研究論文が発表されています。

 

有名なのが、スタンフォード大学西野精治教授の、睡眠とアミロイドβとの関係性に関する研究。睡眠不足が続くとアミロイドβがうまく排出されず脳内に蓄積し、認知症になるリスクが高まるというのです。脳のゴミであるアミロイドβを排出すること、つまり脳を「おそうじ」することが、認知症を予防するうえで、非常に大切なポイントであることがわかると思います。

食べるものを変えれば脳はきれいになる

 脳のゴミを排出するために重要な要因の1つが食事です。アミロイドβは、発生量を抑え、体外への排出を促して溜めないことが大切ですが、それを直接コントロールできるのが食品に含まれる栄養素だからです。

 

 基本は栄養バランスのとれた食事を1日3食きちんと摂ること。

 そして、アミロイドβを溜めない、排出を促す働きがある栄養素はいくつか判明しているので(後ほど、詳しくご説明します)、それらの栄養素を豊富に含んだ食品を積極的に食べることで、より効率的にアミロイドβの発生量を抑え、排出できるようになります。

 

 逆に、脳のおそうじという視点から見れば、摂るのを控えたほうがいい食材もあります。

 脳のゴミをおそうじする前に、大前提として血の巡りをよくしておくことが必要です。

 そうしないと、脳のゴミは血液の流れに乗って体外へと排出されません。言い換えれば、〝ドロドロ血液〞もまた、脳のゴミの蓄積を招きます。

 

 たとえば、京都大学の研究グループによる研究(米国の科学誌「The Journal of Neuroscience」に掲載)では、軽度な脳血流の低下でも、それが長く続くことで軽度な 認知機能障害になることが証明されています。

 

 ‟ドロドロ血液”の原因は、中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)です。

 食事から摂った油は、中性脂肪に変換されて体内(脂肪細胞内)に蓄えられます。脂質を摂り過ぎることで中性脂肪の分解が追いつかなくなり、分解されずに余ってしまった中性脂肪は血中を漂い、やがて体脂肪として体内に溜まっていきます。

 

 恐ろしいのは、中性脂肪は体脂肪だけでなく血管内にも溜まるので、蓄積すると、 血液の通り道が狭くなり、血流が滞ってしまうのです。認知症の20~30%を占めるのが、脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる「脳血管型」です。したがって、血液をサラサラにしておくことも認知症の発症を抑える大切な要素なのです。

 

 また、悪玉コレステロールも、中性脂肪と並び、血の巡りを悪化させる原因となる物質です。血中の悪玉コレステロールの量が多いと、血管内にプラークと呼ばれる脂肪(コレステロール)のかたまりができ、それが徐々に大きくなることで血管が詰まったり、 破裂したりします。

「いい油」を摂れば、ドロドロ血液は改善できる

 脳のおそうじにとって最大の障壁となる‟ドロドロ血液”を改善するにはどうしたらいいのでしょうか?

脂質の摂り過ぎが原因なら、できるだけ脂質の少ない食品を食べればいいと考える方も多いでしょう。 しかし、脂質は健康な体を維持するうえでなくてはならない栄養素です。

 

 ポイントは、体にいい油と悪い油を見極めればいいのです。

 まず摂り過ぎに注意したいのは、ラードやバター、肉の脂身、鶏皮などに含まれる動物性の脂質。これらは、体の中で固まりやすく、中性脂肪やコレステロールの増加を促進し、動脈硬化を進行させる原因となります。

 

また、トランス脂肪酸もできるだけ摂取量を減らしてほしい油です。

 トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすことがわかっており、海外では使用が禁止されているところもあるほど害のある「悪い油」です。

 

 トランス脂肪酸が多く含まれるのは、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング(またはそれらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子)、揚げものなどです。

 

 その一方で、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らしてくれる油があります。

 その代表格が、オリーブオイルやエゴマ油、魚に含まれるEPA・DHAなど。これらは、脳のおそうじを強力にサポートしてくれる「いい油」です。

 

 ドロドロ血液も一朝一夕に改善できるものではありません。うまく油とつき合っていくことを常に心がけ、徐々に改善していきましょう。甘いもの、すなわち糖質の摂り過ぎも、脳のゴミ、特にアミロイドβが溜まる原因となります。

 九州大学大学院医学研究院が行っている「久山町研究」という追跡調査でも、高齢糖尿病患者では認知症の合併が多いことが明らかになったのです。

 

 その調査によると、糖尿病患者のアルツハイマー病発症率は、2〜4倍にものぼるといいます。こうしたことから、アルツハイマー病は「脳の糖尿病」と言われることさえあります。しかし、極端に糖質を制限することも健康によくありません。ポイントは糖の吸収をおだやかにする食品を選ぶこと。簡単な見極め方として「白い色の糖を避けること」が挙げられます。精白した白米や小麦より、精白度が低い玄米や雑穀米、全粒粉を使ったパンやパスタのほうが望ましいということです。

 

 これまでのまとめとして、脳によくない食材の代表格は、

 ラードやバーター、肉の脂身、鶏皮などに含まれる動物性の脂質

 トランス脂肪酸が多く含まれるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、揚げ物

 精白した白米や小麦などの「白い色の糖」

 などです。

脳のおそうじに役立つ栄養素とは

 では、ここから脳にいい食事について詳しく見ていきましょう。まず、前提として3大栄養素と呼ばれる「タンパク質」「脂質」「糖質」に加え、ビタミン、ミネラルといった栄養素を過不足なく摂ることです。さらに、脳のゴミを排出するのに効果的な栄養素もあります。

 

 以下、脳にいい栄養素と、それが含まれた食材について、解説していきましょう。

●DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA (エイコサペンタエン酸)

魚の脂に含まれる油です。この油にはさまざまな健康効果があることがわかっていますが、特に知られているのが、血液サラサラ効果。また、血中の悪玉コレステロールを減少させて善玉コレステロールに変える働きももちます。加えて、DHAは脳をはじめとした神経系の発達を促すことも確認されているため、 脳機能を活性化させるうえでも有効な油と言えるでしょう。

 

●α‐リノレン酸

血液の凝固を防いで血の巡りを良くし、血栓を防ぐ、血管のクレンジング効果が期 待できる成分です。体内で生産できるDHAやEPAの材料にもなる油で、大豆、エゴマ、ナッツ類に多く含まれています。

 

レシチン

脳や神経組織に多く含まれる成分で、食品では卵黄や大豆に含まれています。レシチンの一種であるホスファチジルセリンという成分は、記憶力の向上、抗ストレス作用、集中力の向上をサポートすると言われています。

アスタキサンチン

えび・かになどの甲殻類、鮭・マスの身、鯛の表皮などに含まれる赤みを帯びた天然色素成分です。抗酸化力が非常に強い成分と考えられています。

γ‐オリザノール

こめ油、コーン油、オオムギ油などに含まれ、脳機能の活性化を助けると言われている成分です。また、血中脂質の低下に有効であるという研究報告もあるため脳の血管の詰まりを防ぎ、血行を良好な状態に維持しておくことが期待できます。

 

タンパク質

体のあらゆる組織の材料となる栄養素です。いつまでも動ける体を維持するためには必須です。 牛・豚肉の赤身や鶏肉、魚、乳製品、大豆製品に豊富に含まれています。

 

セサミン

ごまに含まれる成分で、抗酸化作用と悪玉コレステロールの除去力が期待できるため、脳の活性化の効果への期待も高まっています。また、酸化しやすいDHAの酸化防止作用もあることがわかっています。

 

リン

生体内の組織・細胞に不可欠なミネラルです。カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯の材料になるだけではなく、筋肉、脳、神経の材料にもなります。大豆や豆類、ナッツなどに多く含まれています。

 

ビタミンB群

五大栄養素が体内で無駄なく使われるために必要なビタミンです。ビタミンB群が不足すれば、せっかく摂った栄養が体内でうまく吸収されずに排出されてしまいます。含まれる食品は多岐にわたりますが、緑黄色野菜、肉、魚介類などに含まれており、それらをバランスよく食べないと不足してしまいます。さらに、短時間で体外に排出されてしまうため、毎日こまめに摂取しなくてはならない栄養素です。

1日1杯で脳のおそうじができるスープ

 つまり、脳に悪い食材を極力避けたうえで、脳のゴミを排出し溜めないような食生活を身につければ、認知機能低下のリスクを抑えることができます。ただ、毎日、脳にいい食材、悪い食材を気にしながら、献立を考えるのはなかなかに面倒で、ハードルが高いのも確かです。

 

 そこで、私が開発したのが「脳のおそうじスープ」です。アミロイドβを排出するのに有効な、脳にいい栄養素を豊富に含んだスープを、1日1杯飲むだけで摂取することができます。このスープは、必要な食材を切って混ぜて、お湯を注ぐだけで簡単にできてしまいます(詳しい作り方は、拙著『1日1杯 脳のおそうじスープ』をご参照ください)。

 

 料理は億劫という方でも「作ってみようかな」という気持ちになれるはずです。

 もちろん、薬とは違うので毎食摂っても問題はありませんし、朝昼晩、どのタイミングで摂っていただいてもかまいません。飲み始めて効果を実感いただけるまでの期間には個人差があると思いますが、目安として最低でも2週間は続けるようにしてください。

 

 短期間で物忘れがなくなったなどの急激な変化を感じることはないかもしれませんが、1日最低でも1杯飲み続けていただければ、脳は確実に変わっていきます。あなたの親御さん、もしくは近しい人の認知機能低下が心配になったら、ぜひ「脳のおそうじスープ」を試してみてはいかがでしょうか。