MARCとミルベゼ 1日目 | ミルベゼ 横山千晶オフィシャルブログ Powered by Ameba

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バイオリニスト横山千晶のブログです。
mille baisers(ミルベゼ)というユニットを組んで活動しています。


12月10日
MARCが来日する日の前夜は緊張して一睡もできなかった。
空港へ迎えにいくときずっとMARCの音楽を聴いていた。初めて彼の音楽を聴いたときのことを思い出していた。

到着ロビーに彼が出てくるのを待っている時間が今思うと緊張のピークだった。

出てきてすぐにMARCは私たちを見つけてくれてとびっきりの笑顔でハグしてくれた。

『久しぶりだね。元気だった?日本へ招待してくれてありがとう』と言ってくれた。

私はすごく嬉しかった。
私はフランス語は上手に話せなかったけど、MARCはフランス語と英語で私たちにたくさん話しかけてくれた。

リハーサルまで時間があったので、車で渋谷へ向かいリビングルームカフェでランチをした。

私たちはいつもここでライブをしてるんだよって伝えたら『本当に素晴らしい場所だね』と感動していた。

そこでいっしょに食べたパスタもすごく美味しいと喜んでくれた。

ミルベゼのホームでもあるリビングルームカフェにMARCといるのか…と思ったら初めて実感が湧いてきてテンションが上がった。

私が緊張していたけど、MARCはすごく笑顔で冗談を言ったりして笑わせてくれた。

そのあと通訳のヒロキくんと合流して、フランス語でストレスなく話せているMARCを見て私はホッとした。

誰と話すのも笑顔を絶やさず、店員さんにも優しい笑顔で話しかけていてなんて優しい人なんだろうと思った。

長いフライトで疲れているはずなのにそんな素振りは一切見せないでくれた。

昨日は緊張して眠れませんでしたと伝えたら、『僕も飛行機の中で眠れなかったから同じだね!』と笑っていた。

そのあとスタジオへ歩いて向かった。
渋谷でMARCは自撮り棒を取り出してスマホで街並みを撮影しながら大はしゃぎしていた。
めちゃくちゃ可愛かった。

『フランスには自撮り棒を持ってる日本人がたくさんいるんだけど、日本にいるフランス人の僕の方がひどいでしょ?笑』と自分のはしゃぎっぷりを話していて面白かった。

スタジオに着いたときに、今年残念ながら急に亡くなったディディエ(バイオリニスト)の話を聞きたくて私が彼について質問をした。

家族からディディエが倒れたという電話が来たときにはもう手の施しようがない状態だったと聞いた。

さっきまでずっと笑顔だったのに、悲しそうな表情でディディエのことを話してくれた。

『本当は次に一緒にプロジェクトをやろうって誘われてたんだけど、それもできなかった。』と言っていた。

私はどうしてこんな悲しいことを質問してしまったんだと後悔してMARCに『悲しい話をさせてしまってごめんなさい』と伝えた。

MARCは『ディディエの話をするのは僕にとって決して悲しいことではないよ。良い思い出が蘇ってくる。彼は僕の心の中にいるから寂しくない』と言っていた。

小久保くんが私のバイオリンケースにあるディディエのサインを指差して『ここにもディディエはいるよ』と言った。

MARCはまた笑った。

いよいよスタジオ入り。
始まる前にMARCが『ちあき、ストレスを感じないようにリハをするんだよ。分かったかい?』と言ってくれた。たぶん私が緊張してピリピリしてるのが伝わってフォローしてくれたんだな。

MARCがセッティングをしている姿を見て、とうとういっしょにリハをするのかと思ってまた緊張してきた。
でも
MARCがいつも使っているアコーディオンを見て嬉しくなった。わたしの大好きなアコーディオン。

リハーサルが始まったらMARCは一切譜面を見ずに演奏していて本当に驚いた。
ミルベゼの曲をすべてメモリーしてくれていた。

MARCの演奏は本当に素晴らしくて、何度も泣きそうになった。
リハ中もほとんど笑顔だった。笑顔で私たちのことを見てアイコンタクトをしながら演奏していた。

MARCのオリジナル曲をリハしたら、ちゃんと仕上げてきてくれたのが嬉しいよ。ありがとうと言ってまたハグしてくれた。

リハではたくさんアドバイスをくれて、とてもとても勉強になった。

MARCはものすごい世界で演奏しているすごい人なのに、まだまだ若く技術的にも表現力も未熟な私たちに対して決して威圧的な態度をとることはなく、愛情を持って接してくれた。
音で導いてくれて、音で優しく包み込んでくれる人だった。
のちに通訳のヒロキくんがMARCってお父さんみたいな人ですよね。と言っていて、たしかにと思った。




いっしょに演奏できたことが楽しくて緊張が消えていた。

リハを終えてホテルまで送ったら、何か食べに行こうかと誘ってくれた。
めちゃくちゃ疲れてるはずなのに、ごはんに付き合ってくれるなんてどこまで優しい人なんだ…と思った。

どこにでもあるチェーンの居酒屋に入った。
いっしょにビールを飲んで枝豆を食べて
馬肉とか刺身とか食べた。
最初は馬肉ってことを内緒にして『これなんのお肉でしょうか?』って食べさせて
あとから『馬肉だよ』って教えたら、目をまん丸くして『なに?!?!』的な超良いリアクションをしてくれた。
どの料理も美味しい!って喜んでくれた。

ビールはアサヒが好きなんだよと言ってた。

去年、韓国のジャズフェスにミルベゼがMARCを見に行ったときのこととか話した。

MARCはそのときもいっぱい笑わせてくれた。ユーモアいっぱいの素敵な人だなと改めて思った。


これは夢か…?!と何度も思った!
最高に幸せだった!

店員さんにもとびきりの笑顔で『ボンジュール!マドモアゼル!セテトレボン!』って言ってて愛嬌たっぷりでめちゃくちゃ可愛かった。

ホテルまで見送って、解散。

明日からの毎日にワクワクして興奮して帰宅した。

明日起きたらメールしてねとMARCに伝えて寝た。

1日目 お わ り