母の住む実家は1983年築のごく平凡な4LDK木造二階建だ。
経年劣化で部屋の照明も家電も便利な機能付きの物に買い換えるものだが、認知症になった母にとっては便利が不便になっていった。
色々な物を新聞の折込チラシで何重にも包み、思いもよらぬ場所にしまい込むようになってからは便利ツールの代表『リモコン』も例外ではなかった。
部屋の照明、テレビ、エアコン…そこに固定電話の子機も加わる。
「◯◯のリモコンが見当たらないのよ」と頻繁に電話がきていた頃は「また⁈」「めんどくさいな」とイラだったが、問題は電話がこなくなってからだった。
ある日、いつもより夕飯を届けるのが遅くなり日が暮れてしまった。
電気がついたままの玄関のすぐ脇の部屋に電気をつけずにテレビを見ている母がいた。部屋の照明のリモコンがない為、玄関の電気をつけているという。照明のリモコンは仏壇に供えてあった。
以後、何度も同じことを繰り返すので思い切って昔ながらの紐で点灯・消灯する蛍光灯に交換して解決した。
ダイニングのリモコンもなくなっていた。壁のスイッチでオンオフできるので探していない。
普段使わない客間の照明のリモコンも行方不明のまま支障がないので放置してある。
別の日、母の帰宅前に実家に行くとテレビがついたままで画面に『受信できません アンテナの接続を確認してください』というメッセージが出ていた。
母の家はケーブルTVの受信機(?)とテレビ本体の電源を両方入れなくてはならない。ケーブルTVの受信機のリモコンでTVの操作もできる。
受信機の電源を入れずにテレビの電源だけ入れると『受信できません』とメッセージが映るが、逆の場合はTVには何も映らない。
受信機だけ電源を入れてもTVは反応しない。
母の場合、運良く受信機本体の電源を入れることができるとTVの電源と選局、音量はリモコンで操作できる。
私が気づいたときは受信機の電源をいれていないパターンだった。
リモコンのイラストを描いて、各ボタンの部分に矢印で説明を書いたものをテレビの横に貼ってみたが問題解決につながらず無駄だった。
結局、受信機本体で電源オンオフ、音量、選局をするようになりテレビは電源を入れたままにしておくことでしばらく落ち着いていた。
固定電話の子機は親機を外したことで放置していたのだが、子機とテレビのリモコンの見分けがつかなくなったので子機は回収した。
テレビのリモコンは時にデイサービスに持参、時にトイレの棚、押し入れや引き出しの中にチラシやタオルで丁寧に包まれ移動し続けた。
エアコンのリモコン問題は最も深刻だった。
これはまた後日、書こうと思う。
リモコンどころかスマホで外出先から家電を操作できる時代になり確かに便利だが、特に母の世代の独居の認知症当事者とその介護者には不便な時代だと痛感した。