母にどうにか入浴してもらおうと色々考えても、頼みの孫パワーさえも効果がなかった。
父が亡くなってから、正月は実家に集まり三女一家が泊まるのが恒例になった。
それはアルツハイマーと診断されてからもしばらく変わらなかった。
デイサービスで週一の入浴をなんとか始めて最初の正月。
「みんなが起きているうちにお風呂に入っちゃえば?」
と促すと私と三女の夫たちの手前、あまり抵抗なく浴室に行った。
私たちは茶の間でトランプをしていた。
30分過ぎても母が出てこない為、孫に様子を見に行かせると、もうすぐ出ると言ってると孫が戻ってきた。更に10分、15分…孫が声をかける⇄もうすぐ出るの繰り返し。シャワーや湯桶で流す音は聞こえる。
1時間になる頃、私が声をかけると「あと髪を洗えばおしまい」と言った。隙間を開けると髪は濡れてる状態で湯船に浸かっていた。
「髪は洗ってあるね。のぼせちゃうからもう上がって早くトランプしよう。孫たちが待ってるよ。」と声をかけ、湯船から上がるのを確認して部屋で待った。
わりとすぐに部屋の引き戸が開いた。と、同時に
「‼︎やだ!みんなどうしたの?あら⁉︎旦那さまたちも⁉︎ごめんなさい
」
髪から雫を垂らしたバスタオル一枚の母が慌てていた。
シャワーや湯桶の音がしていたことから、何度も髪や身体を洗っては湯船に浸かるを繰り返しているうちに私たちがいることを丸ごと忘れてしまったらしかった。
私も三女もひとりで入浴するのは危険だと思いケアマネに相談することにした。