イキって本を読んでみようと思い307冊目に入りました。
今回読んでみたのは「原爆裁判 アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子」(山我浩 作)
アメリカ・イスラエルによる空爆のニュースをよく見るので、戦争や国際法について知りたいと思いこの本を手に取りました。
この本は朝ドラ「虎に翼」のモデルとなった日本初の女性裁判官・三淵嘉子さんが関わった原爆裁判についての本です。
『原子爆弾の投下は国際法違反か』という国際情勢にも関わる難題に関わった女性初の裁判官はいったいどのような人だつたのでしょうか?
それでは感想を書き散らかしていこうと思います。
適当な概要
昭和30年、広島県の被爆者ら5名が国を相手取り、アメリカの原子爆弾投下を国際法違反とすることを求めて訴訟を起こした。
この通称『原爆裁判』に裁判官として関わったのが、日本初の女性裁判官・三淵嘉子氏だった。
アメリカが原子爆弾を落とすまでの経緯から三淵嘉子氏の人生までを解説する本。
第一章「死の商人と呼ばれた男」
アメリカの原子爆弾開発の裏でウラン鉱石の売買によって暗躍したエドガー・サンジェについて解説。
第二章「原爆が投下された日」
広島への原爆投下前夜の政治家・軍人・科学者たちの動向について解説。
第三章「放射線との戦い」
原爆投下後にアメリカが行った原爆後遺症問題の隠蔽について解説。
第四章「アメリカはお友達?だが…」
当時のアメリカ大統領トルーマン氏や、原子爆弾の開発者オッペンハイマー氏のその後の動向について解説。
第五章「女性弁護士三淵嘉子の誕生」
のちに原爆裁判に関わる三淵嘉子氏が女性初の弁護士になるまでの略歴を紹介。
第六章「家庭裁判所」
三淵嘉子氏が裁判官になってから家庭裁判所に勤めた時期の略歴を紹介。
第七章「原爆裁判」
三淵嘉子氏が裁判官として関わった原爆裁判について解説。
第八章「三淵嘉子の終わりなき戦い」
原爆裁判後の世界各国の核兵器に対する動向と、法曹界の女性たちについて解説。
この下ネタバレありの感想
↓
三淵嘉子氏についての本というより、原爆裁判を取り巻く状況を幅広く解説する本といった感じでした。
原爆はなぜ投下されたのかという歴史と、原爆投下は国際法違反かという問題に、法曹界の女性進出を絡めて論じる本です。
思った以上に原爆投下に至るまでの歴史についての解説が多く、勉強になりました。
始めは『ナチスに原子爆弾を作らせない』という目的で原子爆弾開発を急いでいたはずのアメリカが、
『国際社会で主導権を握る』などの野心とアジア人への差別意識などが絡んで実際に原爆を民間人に落とすまでになってしまう変遷が書かれていて重かったです。
死の商人として原爆開発で儲けていたウラン鉱石商もまた、戦争という波に逆らえず流されていた一人なのが心に残りました。
エドガー・サンジェ氏はウラン鉱石を軍に売って儲けていましたが、次第に軍から無茶なほどの量の採掘を強制されるようになっていきます。
軍からの無茶な要求のせいで、大勢の鉱山労働者が事故死や病死したと書いてあって、彼らも核兵器によって殺されたようなものかもしれないと思いました。
驚いたのが、アメリカ軍の中にも原爆投下に反対していた人が何人かいたことです。
戦争中という時代に原爆投下に反対した勇気に感心する一方で、一度始まるとどこまでも止まらない戦争というものの恐ろしさを感じました。
中盤になってやっと三淵嘉子氏が登場するようになります。
三淵氏はすごいと思うとともに、女性が検察官や裁判官になれなかった時代に、女学生に本格的な法学を教える学校を作った人がいたことに感動しました。
戦後、三淵氏は家庭裁判所に裁判官として勤めました。
やむを得ず犯罪に手を染めた戦災孤児を立ち直らせる仕事に責任感を感じていた一方で、
『女性の法曹は家庭的だから家庭裁判所に配属する』という風潮ができてしまうことを危惧していたそうです。
第八章の最後には原爆裁判の判決文が全文掲載されています。
被爆者への損害賠償は認められませんでしたが、アメリカの原爆投下は国際法違反だという判決が出ました。
「原告等の損害」という部分に原告一人ひとりの境遇が書かれていて、被爆者数という人数では表せない重みを感じました。
この判決をきっかけに「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」や「被爆者援護法」が制定されたそうです。
第二次世界大戦の歴史について読んでいると戦争の恐ろしさを感じます。
内側に反対している人がいても、一度始まったらなかなか止められないんだなぁと思いました。
世界から原子爆弾が無くなる日がくることを祈っています。

