イキって本を読んでみようと思い419冊目に入りました。
今回読んでみたのは「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(歌野晶午 作)
歌野晶午さんの作品は初めて読みます。
なんかタイトルが長いですね…
『王手飛車取り』とはいったい何なのでしょうか?
それでは感想を書き散らかしていこうと思います。
適当なあらすじ
ネット上でオンライン飲み会をしているミステリーオタクの5人は、いつも誰かが自分の考えたトリックを出題して、他のメンバーが解くという遊びをしている。
この遊びには普通の推理ゲームと違う所が一つあった。
それは、出題者が本当に起こした殺人事件から問題を出しているというものだった。
全員殺人鬼のオンライン飲み会で解決される事件とは……。
8話の物語が入った連作短編集。
「Q1 次は誰を殺しますか?」
まずメンバーのaxe(アックス)が出題者になり、ディズニーオタクの女子大生・松尾あづみさんを殺害する。
出題された問題は『これから起こす第二の殺人の被害者はどんな人物か?』というものだった。
誰もターゲットを選ぶ法則を推理できないまま、axeは次々と新たなターゲットを殺害していく。
2人目はサラリーマンで3人目は商店街のお爺さん……。
被害者たちの共通点とは!?
「Q2 推理ゲームの夜は更けて」
メンバーの伴道全教授(ばんどうぜんきょうじゅ)が出題者になったが、スケジュール的に殺人を実行できないらしい。
そこで、実行するつもりだった事件のプロットだけを聞かせてもらうことにする。
時刻表トリックを使ったトラベルミステリーの予定だったらしいが……。
殺人は特急草津1号の中で起こったのに、犯人である伴道全教授が特急水上5号の中にいた理由とは!?
「Q3 生首に聞いてみる?」
メンバーのザンギャ君が出題者になり、工場に勤める男性・多賀谷誠さんを殺害する。
多賀谷さんの死体は、頭部だけが自宅の花瓶に生けられていて、胴体は公園に遺棄されていた。
現場は鍵のかけられた密室で、現場で被害者のうめき声が聞かれてから公園に遺棄された時間までに、胴体のような大きな物を持った人は目撃されていない。
どうやって胴体を捨てたのか…?
「Q4ホーチミン―浜名湖五千キロの壁」
伴道全教授が出題者になり、浜名湖のサービスエリアで車に乗っていた女性・大関しず子さんを殺害する。
しかし、その時伴道全教授はベトナムにいたという鉄壁のアリバイがあった。
もちろんヘリコプターを飛ばして日本に戻ってきたというのは無しのルール。
ベトナムから浜名湖のサービスエリアに移動するアリバイトリックとは…?
「Q5 求道者の密室」
メンバーの044APD(通称・コロンボ)が出題者になり、住宅街に住む会社員の八田理さんを殺害する。
被害者の家は警備の厳重な新興住宅地に建っていて、住宅街の入口には警備員、家には防犯システム、部屋には鍵という三重の密室状態だった。
コロンボはどうやって被害者の部屋に侵入したのか!?
「Q6 究極の犯人当てはこのあとすぐ!」
メンバーの頭狂人(とうきょうじん)が次の出題者になったが、なかなか来ないし、コロンボもビデオ通話に入ってこない。
そこで伴道全教授が考えたネタをみんなに披露して時間潰しをする。
全員全裸のサウナに凶器を持ち込んで殺人をするトリックとは!?
「Q7 密室でなく、アリバイでもなく」
頭狂人が出題者になり、新妻輝悦さんという男性を殺害する。
殺人現場は普通のマンションだし、特に目新しい要素も無い事件に他のメンバーはがっかりするが、頭狂人はこの事件にある秘密を仕込んでいた。
しかし、その謎が解かれたとき、頭狂人のリアルの運命にも大きな変化がもたらされることに……。
「Q? 誰が彼女を殺せ(救え)ますか?」
頭狂人のリアルでの人生に大きな変化があった前回の事件を受け、実際にみんなで集まるオフ会が行われることになる。
オフ会で頭狂人が提案した『ゲーム』の内容とはいったい……。
この本はミステリーなのでネタバレが嫌な方はご注意ください。
この下ネタバレありの感想
↓
倫理観が皆無すぎて最初は混乱しましたが徐々に慣れてくるのがヤバい。
当然のように人を殺しまくっているのに逮捕されないし、第一話から8人ぐらい一気に殺されます。
オンライン飲み会は楽しそうですが、こいつら全員殺人鬼なんだよな……。
全員ありえないぐらい人を殺しまくっている殺人鬼ということを除けば、みんな良い奴らなのですが、殺人鬼なのが致命的すぎてマジでありえません。
殺人鬼なのを除けば、普通に楽しそうなネット友達なんですけどね……。
ネットスラングが飛び交っていて平成初期のオタクという感じが溢れ出ています。
登場人物の名前はハンドルネームです。
『044APD』は刑事コロンボにまつわるナンバーが由来で『伴道全教授』はバン・ドゥーゼン教授という名探偵のキャラが由来のハンドルネームらしいです。
主人公『頭狂人』さんのネーミングセンスが出オチすぎますが……。
頭狂人て。
頭狂いんちゅですよ。
読み始めて1ページで頭狂人という名前の人が出てきて爆笑しました。
ネーミングセンスやばすぎる……。
伴道全教授はビデオ通話中、身バレ防止のために黄色いモジャモジャのカツラをかぶって鼻メガネをしているらしいです。
なぜかオモコロチャンネルというYouTubeに出てくる咎人の雛というキャラのビジュアルで脳内再生されてしまって、第4話を読んでいる間爆笑が止まりませんでした。
まあそんな脳内ビジュアルも終盤の急展開で覆されるのですが。
実際に自分が起こした殺人事件をクイズとして出題するという設定は、単なるサイコパスギャグではなく、ミステリーとしての話の構造に関わってきます。
現実に起こった事件ということで、回答者側が自分で事件関係者に会いに行って証拠集めをすることができるんです。
また、実際に実行したトリックということで実現不可能な案を答えから除外することができます。
それにしても不謹慎ギャグがすごすぎて変な笑いが出ますが……。
第3話「生首に聞いてみる?」が一番面白かったです。
胴体を運び出したことだけが重要なのかと思いきや、ただの飾りかと思われた生首生け花がトリックを解くカギになるという展開が凄かったです。
第5話「求道者の密室」もタイトル通りそこまでするか!という凄い密室トリックが出てきます。
想像したらちょっと怖いけど……。
あんなに頭狂人さんの出オチみたいな名前に爆笑していたのに、最後まで読むと頭狂人さんにメロつくことになります。
頭狂人さんの正体が明らかになってから本当激メロですよ。
読み終わってからピクシブで「密室殺人ゲーム王手飛車取り」で検索して頭狂人さんのイラストを漁るハメになりました。
1件も出てきませんでしたが…
頭狂人ーーー!
まあ最大のネタバレだもんな……。
最後はまさかの切ない感じになるし、なんだか『友情』みたいな空気を出してきます。
こいつら全員殺人鬼なのに……。
お前ら良い空気吸ってんじゃねえよとは思いますが、なぜか切なくなります。
いや何なんコレ。
初めて読んだ歌野晶午さんの作品でしたが面白かったです。
今作は密室殺人ゲームシリーズというシリーズになっているそうで、続編が2作出ているんだそうです。
どうやって話続けるんだろうコレ……。
また「密室殺人ゲーム2.0」という続編を読んでみようと思います。
頭狂人…幸せになってくれ……。
いや、やっぱり捕まってくれ。

