「曾根崎心中」角田光代 | 中島陽子のフリーダムなブログ

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◆「曾根崎心中」角田光代

昨年買ったものだが、時間がなく今年に入って読みました。


初、19歳
天満屋の遊女。12歳の時に島原へ売られ、その後、新地の天満屋へ。

徳兵衛、25歳
醤油屋の手代、美形だか、世間知らずでヘタレっぽい


この本は初視線で進む。


島原の禿時代に青柳と言う先輩女郎に太ももに火傷を負わされた初。
初が器量良しだった為、自分の地位を脅かされると感じた
青柳がワザと初に火傷をさせた・・らしい。


この火傷のせいで、格下の堂島新地へと移る。
ここで徳兵衛と出逢う事になる。


遊女たちの話もあったり
あっさりと読めてしまった。

客を好きになったりしないと言った島。
結局は客の一人を愛し、堕胎し身体を壊して国に帰った。

無表情の小春は、身請けが決まったとたん
首を吊って死んだ。


騙された徳兵衛と初は、心中を選ぶ
初はヘタレの徳兵衛の犠牲者かもしれない。

最後、曽根崎の森へ向かって

早く、早く、早く・・夢中で走り抜ける二人。


初が一瞬、徳兵衛を疑う場面があるが
それでも初は、徳兵衛との死を選ぶ。

此処が面白い。



初は、死=自由と勘違いしている節がある。
柵から解放されて、徳兵衛と来世、添い遂げる。

私なら、顔がどんなに良くても、ヘタレな徳兵衛と心中なんて
ごめんだわ。

剃刀を徳兵衛に渡しても、なかなか決行しないので
結局、初が徳兵衛の手を取り、自分の喉に剃刀を当て
絶命する。

最後まで自分を見ていて・・と思いながら。




「折檻されていた女は、島と同様、恋をしていたのだとやっとわかった。そしておそらく、ひっそりと何も言わず死んだ小春も。」
「知らなければよかったことだった。けれど知らないまま年老いて死んでいたらと思うと、ぞっとすることでもあった。恋とは。」





恋とは。の後いったい何が続いたのだろう。

いつの時代も、"男"と"女"・・なのだろうか。

手練手管で男を落とす事を生業にする職業ではあるが
"徳兵衛だけは特別"だと"錯覚"したのかもしれない。

あの曽根崎の森に続く道で、徳兵衛の背中を見て
ふつふつと沸いた疑惑で足を止め
踵を返し、天満屋に戻り、身請けを受けたとしたら
又、違う人生があったのかもしれない。


お初天神も前は良く通るが
境内まで入った事がない。
うーん・・
なんでだろう・・
夜しか行った事がないからかな。
凄い、怖いのよ。

あの闇に取り込まれそうで。







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