新撰組黙秘録勿忘草 ~沖田総司~④
ネタバレございます。
ワタシ目線で勿忘草を語ります。一部脚色がございます事をご了承の上お読み下さい。
大人な表現が含まれます。ご注意願います。
それでもOKの方・・どうぞお進み下さいませ~。
*新撰組黙秘録勿忘草
CV:鈴木達央
庭で鳥達に餌をあげていた沖田さんに
掃除の途中だったけど、会いに来たワタシ。
ワタシに気付いた沖田さん
僕が恋しくなったのかと笑った。
「ほら、おいで。どうしても言うんなら、此処でしてあげても良いんですよ。」
(もうっ、又、そんな事って。)
赤くなったワタシを見て笑う沖田さん。
ワタシが来た時に飛びだって行った鳥達が
舞い戻って来た。
「さすがにいい加減、君の事を覚えたみたいですね。」
この鳥達は渡り鳥で、もうじき来なくなると言った。
再会出来るかも分らないと
「どうしてですか。」
「あの鳥が屯所を覚えてるか分らないですし、旅の途中で力尽きて死んでしまうかもしれない。」
「・・・僕も出来ればこの新撰組が、近藤さんと土方さんがもっと偉く、もっと大きくなって行くのを、ずっと見ていたいんですけどね。でも、何が起きるか分らない。勿論、僕はいつまでも新撰組と共にあるつもりですよ。近藤さんと土方さんと僕は、誰よりも長く一緒にいるんです。途中で抜けるなんて、許されない。」
「そんな事になったら、僕は悔しくて、きっと、死んでも死にきれないだろうな・・。」
ワタシは俯いて泣きそうになるのを
我慢した。
例えばの話しだ、どうして泣きそうな顔するんだかと
笑った。
「せっかく大事にしたいと思える人が、他にも出来たんです。まだまだ頑張らないと。」
「それって、誰の事ですか。」
「さぁ、誰でしょうね。」
それくらい自分で考えたらと
薄く微笑んでワタシを見た。
「ん・・気になります・・」
「それじゃ、この句を読み解いたら教えてあげても良いですよ。」
「『動かねば 闇にへだつや 花と水』・・どう?分りますか?」
人に聞かないで、自分で解くようにと言われた。
「一生分らないままかもしれないね。・・・まぁ、その方が君にとっては幸せなんじゃないかな。」
「えっ、何か言いました?」
「っ、何も言ってないですよ。それより、そろそろ仕事に戻ったらどうですか。夕餉の支度に取り掛からないと、あっと言う間に日が沈んでしまいますよ。」
風が一陣吹いた。
沖田さんはもう少ししたら、部屋に戻ると言う。
「じゃ、また後で。夜、部屋で待っていますよ。」
ワタシは赤くなりながらも、頷いて仕事に戻った。
秋風が吹く。
風は沖田の肺を刺激し
咳を出させる。
なんでだろ。
僕は死を感じる事はあっても、怖くない。
近藤さんと土方さんと、君と。
一緒に居られる今が、こんなに幸せだから
余計、怖くないのかな・・。
近藤さんや土方さんの歩いて行く先に何があるのか・・
一緒に見届けたかったなぁ。
・・どうして僕だけ、こんなに早く、立ち止まってしまうんだろ。
残された時間で、僕が出来る事。
最期まで今と変わらず笑っていれば
少しは君の為になるだろうか。
願わくば
近藤さん、土方さん
そして・・君の未来が
あの夜の月のように、明るく照らされますように。
この命が続く限り
僕は、君の幸せを祈っています。
-完-
※『動かねば 闇にへだつや 花と水』
沖田総司 辞世の句と言われているが定かではない。
解釈も色々あるが、今回の話しの流れでは
花を沖田 闇を死 水を土方 とたとえ、死に恐れるのではなく、"死より"土方との別れを惜んだ
との解釈が合うだろう。
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◆総評◆
この沖田編を聞き出してから
咳が止まらなくて・・
取り憑かれモードです。
沖田さん、心身共に病んで行きます。
情緒不安定で揺らぎの振り幅が大きい。
ワタシはこの沖田さんと渡り合うくらい
気丈な娘で設定しました。
嫌味三昧の沖田さんに、口には出さないけど
きっと態度には出してたはずです^^;
気は強いが、面倒見が良く情け深い。
そんな娘にしました。
CDを聞いて時点で、彼女の輪郭があまりにも
薄くて少々難儀しました。
他の方の感想を読んでみても、印象が薄いと書かれていた方が多かったです。
薄いので"従順な娘"と受止めたリスナーさんがほとんどでした。
ごめんなさい・・訳もなく従順な性格って・・
私的にとても無理なので^^;
気が強いが面倒見が良い・情がある
と決めた段階でワタシは勝手に走り出しました。
この二人は色んな所でぶつかります。
ぶつかりながら、絆を深めていく
そんなカップルになりました。
行為の最中に首を絞めてしまう・・
うーん・・病んでます。
彼女の首を絞めながら
自分にも痛みが返ってきてるんじゃないかな・・
難しいですが、絞めながら本当は泣いてるんじゃないのかな
とか思ったり・・。
家族愛に飢えていた沖田さんは
近藤さんと土方さんにそれを見出します。
でも、自分の病が最期まで一緒に居る事を拒む。
とにかく切なく、苦しいです。
肺結核と言うと、当時は死の病と言われていましたし
沖田さんは病魔に侵されて行く自分が許せなくて
彼女に辛く当たってしまう。
焦りと怒りの矛先が、一番側に居た彼女に向けられた
と言うところでしょうか。
ラストには、沖田は現実を受け入れようとします。
そしてワタシの幸せも願います。
あの若さ(20歳)で"死"を意識するって
どれだけ無念だったのか。
どんな気持ちで月光を見ていたのでしょう。
鈴木達央さんの沖田さん。
ごめんなさい。
私、鈴木さんを存じ上げなくて^^;
嫌味な沖田さんを、嫌な奴にせず
毒気が強すぎない、線の細い多少クセのある人物として演じられてました。
彼女に対する声が
最後のトラックでは、本当に優しくて
気を許してるんだと思えます。
沖田総司って・・私の中では
好青年なイメージしかなくて
こんな感じの沖田総司は
初めてでした。
面白かったです^^
沖田総司編は、今回で終了です^^
読んで頂いてありがとうございましたっ。
今度は・・平助くんですっ。
では、ごきげんよう♪