新撰組黙秘録勿忘草~近藤 勇~① | 中島陽子のフリーダムなブログ

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新撰組黙秘録勿忘草~近藤 勇①

*ネタバレございます。
ワタシ視線で勿忘草を語ります。一部創作が入ります事をご了承願います。 
大人な内容を含みます。ご注意願います。

$中島 陽子のファッション・コスメ館


*近藤 勇
CV:井上和彦




池田屋事件の時、両親が巻き込まれ死んでしまったワタシ。
行くあてもなく途方に暮れていたところ、
土方さんの口利きで近藤さんに面通りを許された。


(どうしょう・・緊張する。新撰組の局長さんなんて、きっと怖い人なんだろうな・・熊みたいな人だったらどうしょう・・)

隊士の人に近藤さんの部屋まで案内されたワタシ。

襖を開けると、背の高い細身の男性が立っていた。
長い黒髪を無造作に束ね、切れ長の瞳がやや鋭く光っていた。


「ここ数日忙しくてね。面通りも出来ずに申し訳なかったね。ようやく落ち着いて君と話が出来る。」

穏やかな声と物腰。
ゆったりと上座に座った。

(こ、この人が局長さ・・ん?)
想像と違う雰囲気に戸惑ってしまった。


座るように促されて、襖近くに座った。


事情は土方さんから聞いてると近藤さんは言った。
両親の事を気の毒そうに聞いた。

正直、まだ心の整理は出来ないけど
とにかく仕事を探さなくては・・。

ワタシを気遣って励まそうとしてくれる近藤さんの気持ちが嬉しかった。

「お嬢さん、干菓子は好きか?ここに落雁がある。」

(えっ?近藤さんが、お菓子??)

お茶の目利きダメだが、菓子の目利きは自信があると
にっこりと笑った。

「これなんかもお薦めだぞ。ほらっ金平糖だぞっ。好きなだけ食べると良い。」

口に入れると、甘さが広がった。
それに・・
近藤さんが、お菓子を巡って土方さんと攻防戦?を繰り広げていると
言う話が可笑しくて笑ってしまった。

笑ったワタシを見て、近藤さんはほっとした表情になった。

「お嬢さん身寄りが無いんだって?今後はどうするつもりだ。行く宛てはあるのか?」

ワタシは首を横に振る。

「やっぱりそうか。一つ提案だ。嫌なら無論断ってくれてもかまわないよ。うちで働かないか?」

ワタシは顔を上げた。
新しい隊士も増えて、人手が足りないと言う。
働いているうちに、ワタシの心の傷も癒されてゆくのじゃないか・・と。

ワタシは願っても無い申し出に
「宜しくお願いします。」
とお礼を言った。

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朝、庭掃除をしていると、近藤さんがやってきた。
「おはよう、お嬢さん」

「おはようございます。近藤さん、朝のお稽古はどうされたんですか?」


「俺が見ていると新入の太刀筋が緊張して狂うらくてね。」

と近藤さんは苦笑した。

「掃除の邪魔をして悪かったね。気にしないで続けて。君も大分ここに慣れたようだな。何か不便はないか?」


「皆さんに良くしてもらってますし、不便なんてありません。」

「少しは甘えてくれても良いんだぞ。あ、こうやって甘やかすような言葉を言うのは良くないのか。こんな事を話しているのを聞かれたら、また土方君にどやされそうだ。」

そういえば、近藤さんは良く土方さんに、怒られているような・・

「近藤さんは良く土方さんに、怒られているんですか?」

「否定したいところだが・・お嬢さんはもう答えを知ってるだろ?なのに、随分と意地悪な質問をするんだな。」

「えっ!そっ、そんな事!」

力一杯否定してしまった。


近藤さんは笑って
「冗談だよ、そんな必死に否定するな。」

その時、強い風が吹いて、掃除してあつめた落ち葉が舞い上がった。

ワタシの髪に草が絡まったみたいで、近藤さんが取ってあげると近寄った。


(ち、近いです・・。はだけた胸元から胸板が・・目のやり場に困ります・・)

「お嬢さんの髪は柔らかいなぁ。そして艶がある。俺好みの髪だよ。」

(近藤さんの黒髪の方が・・綺麗です)

「照れてるのか?耳が赤い。可愛いなぁ。そういう反応をされると猫可愛がりしたくなるよ。」

そんな警戒しなくてもワタシに手を出したりはしないと言う。
近藤さんとってはワタシは妹と・・同じだと。
少し、残念な気持ちになるのは何故??

頭をなでられ、複雑な気持ちになった。

手を出してと、手のひらに飴玉をくれた。

・・いつもお菓子を持ってるかしら。

「お嬢さん、覚えておきなさい。男相手なら警戒し過ぎるくらいで丁度良いんだ。俺は別だぞ。さっきも言ったが俺は身内のつもりだ。兄上と呼んでもらって良いくらいに思ってる。」

(・・この念押しはいったい・・そんなにワタシ、子供っぽくて妹以外に見られないと、案に言われているような気がする)

その日は、今日の空模様みたいに、どんよりとした気持ちで過ごした。