こんばんは。

人間科学の専門家として総合病院ではたらく臨床心理士、五十嵐です。

 

以前、「学び」シリーズをはじめました。という記事を書きました。

何年働いても、いつまでも、学びの日々です。

今日は、お子さんを持つ親御さんががんになったとき、そのご家族をどう支援したらよいのか、ということに関して、本から得た知識を少し共有できれば、と思います。

 

がんはいろいろな年代に生じます。

がんが家族にやってきたとき、お子さんにはどのように対応されるのが望ましいのでしょうか。

 

 

2冊の本を読んで、これはとても大事だ、と感じたことを下記に引用します。

( )内は私の感想です。

 

がん患者とその子どもの心理療法 Frances Marcus Lewis 著 (馬場知子 訳)
「がん患者心理療法ハンドブック」 Maggie Watson & David Kissane 著(内富庸介・大西秀樹・藤沢大介 監訳)

・がんの診断を受けた後の親御さんは、子供を助けるために何をどう言って、何をしてあげたらよいかわからないことが多い。親御さんが行いやすいこと。
 ① 医療の詳細を、大人の言葉で過度に開示すること
 ② 子どもの心配や懸念を引き出さない、返答しない
 ③ 子どもががんについて質問するまで待ち、子供との相談を主導しようとしない

 

・患者である「親御さん自身」は、「サバイバルモード」であり、自分自身にエネルギーをつかわなければならなかったと報告する人が多い。

 (つまり、上記のような対応となることも致し方がないということ。)


・できると望ましいこと。

 ① 子どもの関心事に注意を向けること
 ② 病気やそれに関連した脅威について子どもを安心させること
 ③ 間違っている子どもの理解を修正すること

 

・子どもは論理的に考えて問題解決することが難しい。
 強く情緒的に揺れている状態で何が起こっているのかを整理することは困難。
 混乱した子どもはいつもより強く脅威を体験する。
 それによって、一時的に判断が退行してしまうこともある。
 例) 親のがんが自分のせいではないかと思う。
    自分が愛されていない、価値のない子どもだと感じてしまいやすい。

 

親御さんはお子さんに最適な環境・状況を作り出さねば、と強く思います。

しかし、「親御さん自身はサバイバルモードなのだ」という言語化はその通りですし、とても納得しました。

つまり、親御さんが最良の選択をするのが難しいとしても、それは当然のことなのだと。

患者さんご自身には、このことをまずはご理解いただきたいなぁと感じました。

そして、下記には、少し具体的な方略が記載されていました。

 

子育て世代のがん患者への支援 小沢美和・久野美智子 著
「からだの病気のこころのケア」 鈴木伸一 編著

・まず、事実を伝える目的を忘れてはならない。
 大切な事実を共有することにより、子供が家族の一員として孤立せず、これによって築かれる大人との信頼関係はその後の成長の基盤を作ることに通ずる、ということ。

 

・どんなケアを行ったらよいか。
 ① 子どもに関する親の相談相手になること
 ② 医療現場における子どもの「こころ」の準備
   治療機器や場所の説明を行い、状況を理解する「こころ」の準備を手伝う。
 ③ 子どもとの面談
 ④ 患者である親への面会場面での過ごし方の援助
 ⑤ 患者とその子供にやさしい環境づくりの提案
 ⑥ 患者・家族に関する情報収集と多職種との情報共有

 

家族に大きな病気がやってきたとき、大きな葛藤にさいなまれたり、家族とうまく話し合いができなくなったりするのは、弱いことでも、だめなことでもないと思います。

それくらい大きなことで、混乱するのは当然のことなのだと思うのです。

 

誰もが自分を責めずに、まずは自分の気持ちを整えること、そこから始めていただけたら、と思います。

話を聞いてもらえそうな人は身近にいませんか。

おひとりでひと呼吸、少し休憩する時間をとる方が落ち着くようであれば、それも大切な一案です。

 

下記にも大事な情報がたくさん載っています。

HopeTree

また、上記の引用について、興味があればぜひ引用元の書籍をご一読ください。

どちらの著書も当方も一章ずつ、担当させていただきました。

一生懸命まとめさせていただきましたし、他の章もまた、素晴らしい示唆に富んだ書籍です。

手に取っていただけたらとてもうれしいです。

 

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この大事な問題についても、今後も取り組んでいきたいです。

何かのお役に立てますように。

 

関連記事:親ががんになった子どもを守るために。

 

 

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