こんばんは。
人間科学の専門家として総合病院で働く、臨床心理士の五十嵐です。
臨床心理士は、クライエントや患者さんのお話をうかがい、なりたい姿に近づくことや問題の解決をお手伝いすることが仕事です。
これまでに学んできた心理学や人間科学の知見や技術をもとに、現状の困りごとを一緒にひも解きながら考えます。
私たちは、こうした相談業務に対する精度を高めるために、スーパービジョンが必要とされます。
スーパービジョンというのは、私たち対人援助職が相談業務に対してのアドバイスや指導を受けることです。
私もそうした機会を設ける努力をしていますし、スーパービジョンを提供することのご依頼も大学と病院、個人でお受けしています。
私はこのスーパービジョン、自分が受けることも、提供することも、どちらもとても好きです。
受けることが好きな理由は、過去の記事「これだから勉強はやめられない」に記載しました。
そして、自分がスーパビジョンを提供することが好きな理由はいつかあります。
・スーパービジョンを提供した時、受けて下さった先生が変化していくのがうれしい。
・私も多くの先生方に成長を助けていただいてきました。それをまた還元できるのがうれしい。
・一緒に考えさせていただくことで、私の理解もどんどん深まるのがうれしい。
・人間科学で貢献できる範囲を拡張することに、少しでも役立てるのがうれしい。
今日は上記のうちのひとつめについて、書き残そうかなと思います。
スーパービジョンでは、一緒に事例を拝見し、困りごとの成り立ちや維持の方法を一緒に検討します。
その上で、これまでの面接の経過の振り返りや今後の方針をもう一度確認したり、計画したりします。
その経過の中で、スーパービジョンを受ける先生はどんどん表情が変わっていきます。
「んー?」というもやもやだったり、
「あっ!」という気づきだったり、
「たしかに!」という発見だったり、
「やっぱり!」という確認だったり。
そして、
「これを聞いてみよう」とか、
「これをやってみよう」とか、
「それで続けてみます」とか、
新たな戦略や仮説、もしくは、このまま継続していく根拠がみつかったりするのです。
こうして、表情がどんどん明るくなって、最後には方針が立つ。
スーパービジョンって、素敵な作業だなぁと思います。
ただ、「そんな簡単なことに気づきませんでした」とか、
「まったく分かっていませんでした」などと反省をおっしゃる先生がいます。
(私もスパービジョンを受ける側のときは同じようなことを言いたくなる…ので気持ちがよく分かります…)
しかし、そもそも、スーパービジョンを提供する側は、患者さんと面接を担当しているカウンセラーの間で何が起きているかを客観的に観察することができます。
だから、わかることがある、それだけです。
たとえば、先日一緒に事例を検討した先生から、こんな感想をいただきました。
「事例と、アドバイスもらったこと、過去に書籍で学んだことがつながったのを感じてとても面白かったです」
この事例で活かせると私が感じた技術は、既にこの先生が学んでいたことでした。
「こういうとき、それ、使えます!」と私は伝えただけ。
書籍で学んでいたことと実践が結びついた瞬間となれたようで、とてもうれしかったです。
カウンセリングの技術を学ぶことは、たしかに「勉強」です。
でもこの「勉強」を「面白かった」と言っていただけたことが、私は何よりも嬉しかったです。
なぜなら、この感覚があれば、どんどん学べるし、どんどん進化できます。
その姿を見せてもらって、これからも私も負けずに学んでいきたいな、と気持ちを新たにすることができました。
とてもありがたい循環です。
やっぱり私はスーパービジョンが好きだな、と思います。
これからも、学びの循環を大切にしていきたいです。
あたたかく、そして、たのしく。
追記:
スーパービジョンは個人情報保護の遵守の上に成り立ち、さらに個人を特定する情報は伏せて行う作業です。
クライエントや患者様のプライバシーを侵害することはございません。

