こんばんは。

人間科学の専門家として総合病院ではたらく臨床心理士、五十嵐です。

 

先日、医学部で「行動科学」の講義を終えました。

この講義は今年から始まった新しい講義で、とてもたのしかったです。
彼らはまだ1年生。2年生のあなたに、また来年会いにゆきます。
だから、記憶のどこかに引っ掛けておいてね、と思います。

 

 

講義で話した内容は、人間の行動の科学、つまりは基礎心理学の分野のお話です。

基礎心理学にはいろいろな領域があります。

・感覚

・知覚

・記憶

・知能

・学習

・発達

などなど…。

 

心理学は、こうした内容を含む基礎心理学と臨床心理学などを含む応用心理学に大きく分かれます。

大学学部生のときは、基礎心理学をしっかり学ぶ課程で勉強しました。

(応用心理学中心の学びで臨床心理士になる方もいらっしゃいます)

私は臨床心理士になりたくて大学に入ったので、正直、この臨床と直結しないように見える基礎心理学の学びにかなりとまどいました。

・ものを見たり聞いたり嗅いだり味わったりする仕組み

・記憶の構造の理解

などなど・・・、こうしたことについて学ぶことが、自分が志す臨床心理士にどうつながるのだろうか…と。

 

基礎心理学における研究の目的は、「人間の心理の一般的な法則を明らかにすること」です。

一方、臨床心理学における研究の目的は、「個人に生じる差異をふまえ、心の悩みに苦しむ人たちを援助すること」です。

「人間の心理の一般的法則」が分からなければ、「個人に生じる差異」は理解できません。

基礎心理学の知見をもって個人を見ることで、ようやく個人差を理解できるようになります。

実際に臨床で働くようになって、基礎心理学から得られるの学びの貴重さを実感するようになりました

 

こんな考えをもとに、基礎心理学の行動科学が臨床にどのように生かされているのかについて、講義ではお話をしました。

ごく一部の紹介ですが、下記のような感想をいただくことができました。

とてもうれしかったです。

 

・行動科学が実際に医療に活かされているということが分かった。
・学んだことが医療とどうつながっているのかを理解できた。

・座学の学びが実際の臨床に展開されることが分かって、学ぶことの意味を感じた。 等。

 

臨床をしていると、「基礎心理学」からの学びの有用性を非常に感じます。

学部時代に教科書として購入した本に立ち返って調べることも多々あります。

これからも多くの場面で助けられることと思います。

 

 

しかし、残念なお知らせを最近目にしました。

現在、心理士業界は、国家資格「公認心理師」の創設に向けて、カリキュラムの策定中です。

そのワーキングチームで作成されたたたき台では、基礎心理学領域の科目が多く削除されたそうです。

とてもショックで悲しいです。

「公認心理師」は、基礎心理学から得られる有用な学びを吸収する機会を与えられないままに臨床現場に産み落とされるということになります。

 

そうした環境で育つ心理士の後輩と携わることがあったら、私個人としては基礎心理学の有用性を伝えていきたい、そう思います。

自分も困ったり悩んだり、分からないと苦しむときは、基礎心理学に振り返って答えを探す姿勢を忘れないでいたい。

 

木は本から」ということわざがあります。

何事も基礎や基本が大切である、ということを表しています。

普段からこの考えを大切にしていたいな、と思います。

すなおに。

そして、こうして基礎心理学について考える機会となった、講義の機会に感謝します。

 

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