テクノミュージックで定評の、ROLAND TR-909のドラムサウンド。
シンセサウンドと馴染みが良い音で、「ドカドカ」と存在感のあるリズムを鳴らしてくれます。
しかし、TR-909の発売当時から「大人気」というわけではありませんでした。
なぜなら、同じ時期に発売されたLinnDRUM(リンドラム)がPCM波形を搭載したデジタルドラムマシンで、本物のドラムと同じリアルなキックやスネアサウンドを再生できたからです。
当時はサンプラーが開発されて、録音された「本物」の楽器の音を再生する、デジタル楽器が一大ブームでした。
本物じゃないTR-909の音は、リアルじゃないと鼻で笑われていたそう。
SONYのMDプレーヤーが、APPLEのiPODに負けてしまったようなものです。
しかし、それで終わらないのが、音楽の不思議なところ。
時が経って、人気がなくて安く売られていた、中古のTR-909とTR-808とTB-303を使って作られたのが、ハウスミュージックとデトロイト・テクノ。
リアルではないけれども、音と響きが強いアナログドラムサウンドが、クラブのようなライブハウスで迫力のある音を鳴らすのに向いていました。
デジタル録音されたPCM波形は、リアルだけれども「音量」を大きくしても音が大きくなってウルサクなるだけ。
しかし、TR-909のアナログ・ドラムサウンドは、音量を大きくしていけば隠れていた「ディテール」が耳に聞こえるようになって、倍音がどんどん増えていって音の存在感が増していきます。
アナログ・ドラムサウンドの、解像度の「高さ」がなせる技。
さらには、シンセサイザー・ミュージックと馴染みがいいのが、TR-909。
(画像は、JUNO-106)
TB-303の、アシッドなベースラインやシーケンスとの相性も良し。
本物じゃないけど本物っぽいアナログ・ドラムサウンドが、違和感なくシンセサイザーのベースサウンドとリズム隊を構成しました。
いわゆる「4つ打ち」ってヤツですね。
そのTR-909の音をサンプリングして、いろんなエフェクトをかけたのが、現在のソフトウェア・シンセサイザーの音色ライブラリーに入っているドラムサウンド。
909ドラムとか909キックとか名前が入っているのが、そう。
でも、最近だとそのライブリーにある加工されたTR-909の音に慣れていて、本物のTR−909の音が嫌いな人がいたりします。
コピーバンドを聞いていた人が、本物のバンドの演奏を聞いて、これってコピーバンド??って聞く感じです。
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