青春映画で成功の確率が高いのは部活もの、
難しいのは恋愛ものというのが持論だ。
2人の気持ちがお互いを向いていると分かれば
恋愛が成立する。
どちらかが鈍感でなかなかうまくいかない、
というのがラブコメの常道。
でもうまくいった恋なんて何も見るべきものが残っていない。
ハッピーなカップルなど退屈の極地だ。
部活ものだと、部員全員の気持ちが一致したら、
試合という盛り上がるイベントへ一直線だ。
部活ものの傑作として、古くは『バタアシ金魚』(1990年)、
『ウォーターボーイズ』(2001年)、
『スイング・ガールズ』(2004年)。
そして青春映画の金字塔といわれる
『ちはやふる』三部作(2016~2018年)をあげることができる。
主演は、もちろん広瀬すず。
今、映画版の10年後の世界を描いた
『ちはやふるーめぐりー』が放送中だ。
『チア☆ダン』でも映画版の9年後を
テレビドラマで描くという作戦がとられていた。
主演はまたも広瀬すず(映画)vs土屋太鳳(テレビ)
完成度の高い映画版のストーリーをなぞるのばさすがに厳しすぎるし、
映画版のファンにも見てもらいたい、という作戦には賛成。
『ちはやふるーめぐりー』はていねいに作られていて、
ドラマの完成度も高い。
『ちはやふる』映画版にも出演していた上白石萌音が、
古文の教師で競技カルタ部の顧問として出演しているほか、
肉まん君もけっこうカッコイイ役で出ている。
主人公、藍沢めぐるは放課後は塾に通いながら、
ピザ屋でバイトしたお金を投資したりと、
タイパ重視の考えで動いている。
第5話では、受験に失敗したとき、
母親が「これまで塾代に投資したお金も水の泡になってしまった」
と語るのを聞いてしまっためぐるが、
ショックを受けた過去が明かされる。
タイパ重視ゆえに、部活などという
「青春はぜいたく」と考えていた。
言いたいことも言えない、おとなしめのキャラクターで出発して、
第6話ではかなり熱血化していた。
めぐるを演じる當真あみは
『さよならマエストロ』(2024年1月~月)では、
楽器もできないのに指揮者になりたい、
といいだす女子高生を演じていた。
かなりひねったキャラクターだが、
かわいい魅力があったから説得力があった。
単発ドラマの『ケの日のケケケ』では
聴覚、視覚、味覚の三重苦でありながら、
しなやかに力強く生きるヒロインを演じていた。
(詳しくはマイブログ『ケケケの当麻あみと”あれ”の白鳥玉季』を参照)
類例がなく難しそうなキャラクターの方が
個性を発揮できるタイプのようだ。
それに比べると、『ちはやふる』では
わりと普通の高校生役なので、
見ていてちょっと物足りない気もする。
とはいえ、なんとなくスケールの大きさを感じさせる人。
ポスト広瀬すずの有力候補だ。
ぼんやりテレビを見ていると、
広瀬すずが袴姿でカルタを取っているではないか。
でもそれは、綾瀨千早ではなく、
三井のすずちゃんだった。