昨日から今日になる頃、

西野七瀬の卒業ライブのビデオを見始めた。

正確にいうと、「乃木坂46 7 YEAR BIRTHDAY LIVE」。

だいぶ前に買ったのになかなか見始められなかったのは

240分という超超ロングタイム収録ビデオだったせいだ。

徹夜を覚悟しないと4時間は確保できない。

もともとAKBも乃木坂もすっかり乗り遅れてしまったので、

もうどれくらい世間とずれているか分からない。

AMAZONで検索したら、

「乃木坂46 7 YEAR BIRTHDAY LIVE」は

存在したことがないかのように跡形もないディスクになっていた。

 

とにかく京セラドーム狭しと空中を飛び回りながら歌う姿に圧倒された。

で、気がついたらライブは終わっていた。

どのくらいまで意識があったのか。

歯を磨いて2時間ほどベッドで寝た。
6時頃テレビをつけると、

西野七瀬が結婚を発表というニュースが飛び込んできた。

今夜中に見ないと後悔するよ、

とアイドルの神様が無意識の世界で囁いていたのかもしれない。

日本中で「どうかこれがエイプリルフールの冗談でありますように」

と祈りながら頭からフトンをかぶって二度寝をしようとした若者、

 

ネットで「最高のエイプリル・フールだ。よくやってくれたぜ、西野」

と投稿する者等さまざまの反応があったであろう。

しかし喪失に固着しすぎると花山帝のように身を誤ることになりかねない。

歯に歯を。

美には美を。

今日は二人の若い女優を中心に語ってゆこう。

改編期にはちょくちょく単発ドラマが放送されるが、

「ケの日のケケケ」は

「第47回創作テレビドラマ大賞受賞作」とタイトルホルダー作品である。

同賞は毎年1000本近い応募作があるとのこと。

今年の勝者は森野マッシュさんという方。

その内容は

片瀬あまね(當真あみ)は聴覚、視覚、味覚と三重の過敏症。

ヘッドホンで騒音を防ぎ、サングラスで光を防ぐというスタイルで暮らす。

入学した高校は全員部活動をすべしという校則がある。

しかしハードルが低そうな文化部でも、

家庭科クラブは食べられないものがあるからダメ、

パソコン部は目がチカチカするからダメ。

というわけで陸上部をやめた進藤琥太郎(15)(奥平大兼)と共に、

『ケケケ同好会』を設立することに決める。

何もしなくてもよいケケケ同好会は

家庭事情などで学校生活について行けない生徒の受け皿になる。

あまねは感覚過敏のために生じがちな

苦痛にさらされて生きている。

世界の一部を遮断しなければ生きて行けないが、

世界から遠ざかるのではなく、

世界の中に歩み出す方策を考え行動に移して行く。

しかし、われわれ皆に

耳をつんざく騒音、目をいる光線、舌を刺す辛みは与えられている。

鈍感になってやり過ごそうとしているだけだ。

だからあまねの物語はほんとうはわれらの物語だ。

しなやかに粘り強く、

ときにはユーモアを持っていきるヒロインは

當真あみが演じることで、

常にあるニュアンスを発してしまう存在になった。

そのニュアンスゆえにかけがえのない存在に。

主演の當真あみは「さよなら マエストロ」でおなじみだ。

楽器の経験ゼロなのに指揮者になりたい、

と西島マエストロに弟子入りしたあの女子高生(谷崎天音)である。

(ヴァイオリンを弾くシーンがあったが、

実は3歳半から始めたバイオリンが特技だそうだ)

顔だけ見ていると脳の芯が溶けそうになってくる可愛さだ。

調べてみると、

やはり石田ゆり子様出演作なので毎週見ていた

「妻 小学生になる」(2022年1~3月)で

中学生の人気小説家、出雲凛音(いずも りおん)を演じていた。

中学生の人気小説家というキャラクターには、

このファンタジー独自の秘密がかかわっている。

ドラマ初出演で

現実には存在しないキャラクターを演じていたわけだった。
 

映画では昨年公開の『水は海に向かって流れる』に出演していた。

高校入学を機に

叔父が住むシェアハウスに入居した熊沢 直達が視点人物。

そのシェアハウスに住んでいた26歳のOL榊 千紗を

広瀬すずが演じている。

千紗の母と直達の父がかつて不倫の関係にあったため、

千紗は恋愛をしない主義である。

広瀬すずが演じたのは、

ポトラッチと称して肉を椀飯振る舞いしたりする、

豪快なキャラクターだった。

広瀬すずも年上の女を演じるようになったか、と感慨にふけっていると、

約4ヶ月後「キリエのうた」では、

ミニの制服で深い雪の中をぐんぐん進んで行くという、

元気な女子高生にもどっていた… 

 

いや、當真あみの話だった。

千紗が広瀬すずなので、直達が千紗に惚れないはずはない。

しかし一方直達に思いを寄せる同級生楓がいた。

その楓役が當真あみで、

陸上部員で赤いジャージ姿だったのが印象に残っている。

このときは放っておくのはもったいない美少女だなと思った。

(相手が広瀬すずじゃ、今はしょうがないか。)

好きなタイプの映画だったのだが、

直達役の若い俳優がもの足らなくて、

映画自体はちょっと期待外れだった。

當真あみについて考えていたら、

なぜか宮﨑あおいが頭に浮かんだ。

宮﨑あおいが久々にドラマで主演を果たしたのが、

ユーミンストーリーズの第3週「春よ、来い」だ。

カナコ[宮﨑あおい]、雄大[池松壮亮]、多英[白鳥玉季]と

三人のストーリーが別々に進行して行く。

三人の共通点は一族にそなわった

願い事をかなえる力を受け継いだということ。

自分とか、自分の身近な人のためには使えない、

とかいろいろ制約があって使いにくい”あれ”である。

多英は事故で両親をなくし、

祖父(きたろう)と叔母(小野花梨)と三人暮らしだ。

中学校では友達もなく、

いじめを受けて登校できなくなる。

白鳥玉季の抑制の効いた演技からは

奥深い品位が感じられた。

役柄ということもあるだろうが、

「PERFECT DAYS」で

役所広司の姪役で出ていた中野有紗にも

それに近いものを感じた。

二人の将来はいかに。

どんな役でもその奥にあの品位があれば大丈夫だ。

NHKの単発ドラマつながりでもうひとつつけ加えると、

桜庭みなみが主演した「島根マルチバース伝」。

 NHKでは地方局によってドラマが連綿と製作されてきた。

2022年3月には2本も放送されたそうだが、

かなり久しぶりだ。

当方の記憶では2ヶ月に1本、BSで夜10時台だと思うが、

「島根マルチバース伝」の放送は3月22日金曜午後時からだった。

平日の夕方?

どういう都合か、妙な話である。

ともあれそのストーリーは

ひかり(桜庭みなみ)は高校演劇で神童と呼ばれ、

将来は女優を目指していた。

しかし今は実家でバイト暮らし。

「自分が輝けないのは島根のせい」と愚痴る日々だ。

ある日妖しげな「みせや」に立ち寄ると、

店主(佐野史郎)から、

輝くはずだった人生を見ることができる、と言われて、

異なる選択をした人生を生きる自分の姿を見に行く。

桜庭みなみといえばミスマガジンである。

ドラマの出演作も多いが、

主演作は貴重なメルクマールになるだろう。

 

 

 

 

 

 

ドラマは面白かったので地上波で再放送してもらいたい。