⒓月10日の日記
11時半 地下鉄烏丸御池駅で降りて、
どこで昼食にするか店を探す。
ビルの外階段を上ったところで、
鰺フライ定食が800円台の店があったが、
ランチ営業をやめてしまった。
その近くの地下の店にする。
以前そこに入ったときには、
すでに水割りのグラスを並べている一団があった。
いかにもスナックが営業拡大で
ランチをやりだしたという感じの店だった。
料理の味も価格も悪くなかったが、
たばこ臭かったので避けていた。
が、しかたない。定食950円。
12時。
文化博物館でシルクロード展を見る。
正式には
「日中平和友好条約45周年記念世界遺産 大シルクロード展」
というたいそうなタイトルである。
音声ガイドは石坂浩二。
なるほどと思う人はそこそこの年だろう。
NHKの「シルクロード」という番組で
ナレーションを担当して人気だった人である。
インテリの典型だった石坂浩二。
映画、ドラマではけっこう姑息なインテリを
演じていたような印象がある。
最近作『海の沈黙』の役柄もその延長線上。
良くも悪くもこの人から知的な雰囲気は消せない。
3階のフィルムシアターで
『無憂華 九条武子』を見る。
九条武子(1887~1928)は
西本願寺法主大谷光尊の次女で、
大正三美人のひとりだった。
歌人としても有名だったが、
絵は上村松園に師事した。
かつて見た武子の展覧会では、
それぞれ絵筆をとった
松園と武子が向き合っている写真が
一番印象的だった。
前半爆睡してしまったが、
映画の後半は関東大震災後、
最初はそしられながらも救援活動に尽くし、
敗血症のため亡くなるまでを描いていた。
一言でまとめると、聖女伝映画。
1930年東亜京都作品
(パートトーキー・モノクロ・68分)
/監督:根津新・後藤岱山/
出演:鈴村京子、三原那智子、高野豊洲
開始後13分ぐらいたったところでナレーションが入るので、
「パートトーキー」。
なぜ最初からナレーションを
入れなかったんだろう。
謎だ。
ゼロK無修正版(といっても妖しい映像は皆無)
なのでハイライトが完全にとんでしまって、
さながら白の氾濫である。
『シルクロード展』のチケットで
いったん入場すると、
フィルムシアター用にはチケットを購入する必要はない。
映画に関しては無料で見られた、
ということになる。
ただし、いったん入場すると
映画と展覧会を続けてみなければならないので、
ランチをどうするか、などは
作戦をたてておかなばならない。
特別展に入らない場合、
総合展示(一般500円等)のチケットを買って入場する。
チケット売り場で聞いてみたが、
通常は映画専用のチケットはない。
古い邦画をよく上映しているという印象だが、
6月から7月にかけてはEUフィルムデーズ、
⒓月は京都ヒストリカ国際映画祭などで
ふだんあまり見られない国の映画の上映もやっている
(有料だが)。
こう書きながらもじつはあまり見られていない。
ただひとつよく覚えているのはEUの方で見た
『マリー・クロイヤー』だ。
2017年の5月に東京の西洋美術館で
スケーエンの画家たちの展覧会を見た。
スケーエンはデンマークの小さな漁村だが、
画家や詩人などが移り住むようになって、
国際的な芸術家村のようになったのだった。
その中でも中心的な画家だったクロイヤーと
結婚したマリーの苦難に満ちた結婚生活、
そして青年作曲家アルヴェーンとの恋を描いた、
傑作だった。
それを見たのが6月。
展覧会場では映画の宣伝はやってなかったので、
時期が近かったのは偶然だったのだろうか。
実に幸運な偶然だった。