『光る君へ』をきっかけに
『源氏物語』を読んでやるぞと決心して、
挫折してしまった人が日本全国
いったい何人いることでしょうか?
haricot rougeは
2002年から翌年にかけて2年がかりで『源氏物語』を読み、
『紫式部日記』も読んだので、
今年は紫式部の家集と歴史物語『大鏡』を読みました。
とはいうものの、
読後20年以上たっているので、
現代語訳でもう一度源氏を読みたいとは思っていたのですが、
現代語訳もかなりの分量なのでなかなか手が出せず、
今年もあと3ヶ月を切ってしまいました。
そんな或る日のこと
―京都シネマで映画を見るときはそじ坊という蕎麦屋へよく行くのですが―
蕎麦屋から出て立ち寄った、
くまざわ書店でなかなか素敵な本を見つけました。
潮文庫の馬場あき子著『掌編 源氏物語』です。
一帖4頁にまとめられていて、
そのうち1頁はカラーの日本画になっています。
発端は香老舗 松栄堂が50周年の記念事業として
『源氏物語』54帖の絵をそろえたい
というところから企画が生まれ、
京都画壇の54人の日本画家に依頼して
54枚の描かれ、
馬場さんが一帖1200字という字数制限のもと
それぞれストーリーを語り直しました。
2004年に刊行された本の文庫版です。
短歌はあまり詳しくありませんが、
馬場あき子さんといえば、
朝日歌壇の選者であり、
短歌の世界では大御所中の大御所というイメージです。
短くても小説のようにストーリーが語られていて、
和歌がときどき取りあげられているのが特色でしょうか。
インターネットでもあらすじは
簡単に見つかるようですが、
やっぱりそれだけでは味気ない、
でも時間が無い、どうすればいいの…
という人にオススメしたいです。
haricot rougeのように
読んだけどもうかなり忘れてしまった人、
源氏関係の講演等を聞きに行く人、
源氏物語を知ってるふりをしなければならない人にも、
228頁の文庫サイズに収まった源氏は何かと便利です。
1200円+税金はちょっと高いですが、
絵はすべてカラーなのでしかたないかな。
字を読むのも嫌になったら絵を眺めるだけでもいいですしね…
絵の方は源氏物語絵巻のようなものもあれば、
人物抜きの風景画もあり、
それぞれの画家が独自に練り上げた
構想の妙を比べられるのも面白いところです。
くまざわ書店四条烏丸店は
それほど大きな本屋さんではありませんが、
新聞の書評が張り出してあったり、
なかなかいい店だと思っていましたが、
潮文庫というマイナーな文庫も
きっちりチェックしているあたりさすがです。
四条烏丸のあたりに来るついでがあれば寄ってみて下さい。