宇治の源氏物語ミュージアムでは

月一度それぞれ別の講師をお呼びして、

紫式部関連の講演を聴くという、

連続講座のシリーズが行われています。

今日は神戸女学院大学の

栗山圭子先生のお話をうかがいました。

タイトルは「紫式部と大弐三位(だいにのさんみ)」です。

大弐三位とは紫式部の娘賢子(かたいこ)です。

ミュージアムの中に入ると、

今や宇治ではお約束のようになった

「響け!ユーフォニアム」のパネルが出迎えてくれます。

入り口でチケットを買おうとしたのですが、

不要でした。

廊下を進んで受付で参加費600円を払うと、

資料とファイルをもらいました。

ファイルの絵柄は

宇治橋をさまざまな時代の衣裳をつけた人々が

行き交うというとてもチャーミングなものです。

京阪宇治駅には「響けユーフォニアム」の

イラストパネルがたくさん設置されていますが、

改札を入ってすぐの「紫式部ゆかりのまち」という

タイトルがついたパネルの図柄です。

ワーイ、得した!

開始の20分以上前でも部屋の中はかなり埋まっていました。

ざっと100人くらいはいたでしょうか。

申し込んでも外れた人もいたとのこと。

かなりの人気です。

講演終了後ミュージアムの中も見学できるようになっていました。

領収書は棄てない方がいいようです。

栗山先生は

明るく親しみやすい雰囲気の方で、

お話は明確でたいへん聞きやすく、

わかりやすかったです。

ご専門は歴史、ということで、

平安時代中期(摂関期)の女性の生き方、

社会的な地位はどうなっていたのかを、

紫式部と大弐三位の生涯を通して考えていくという内容でした。

女房には三種類あって
a 上の女房:天皇に仕えます。位の高い順に
     乳母(めのと)典侍(ないしのすけ)

     ―掌侍(ないしのじょう)命婦

     ―女蔵人
b 宮の女房:中宮、皇后など立后したキサキに使える。

      紫式部や清少納言。
c 家の女房:親王や上級の貴族に仕える。

      赤染衛門など。

大弐三位は後冷泉帝の乳母になり、

天皇が即位すると従三位に叙せられるという

中級貴族出身ではまずめったにない大出世。

 

資料として配られた『枕草子』にも
「内わたりに、御乳母は、

内侍のすけ、三位などになりぬれば、重々しけれど、

<中略>

またおほやうはある。

受領の北の方にて国へくだるをこそは、

よろしき人のさいはひの際(きわ)と

思ひてめでうらやむめれ」
 

<現代語訳>

宮中で、主上の御乳母は、

内侍のすけや三位などになってしまうと重々しいけれど

<中略>

また、大方の女がそうなる、

というわけのものでもなかろう。

受領の北の方の地位にあって任国にくだるのをこそは、

普通の身分の人の幸福のきわみと思ってほめ羨むようだ。

と書かれていました。
大弐三位は

受領の北の方になることにも成功しているので、

文句なしの勝ち組でしょう。

1時間半の講演はたいへん充実していました。

次回も参加してみようと思いました。

往復はがきかEメールで申し込むようになっています。

興味のある方はミュージアムの公式ホームページをご覧下さい。

https://www.city.uji.kyoto.jp/site/genji/76458.html

講座が終わって私は大吉山へ向かいました。

大吉山と聞いてピンときた人は

「響け!ユーフォニアム」見てますね。

 

実は私はそれほどちゃんと見てなかったのです。

夜、川べりの東屋で少女たちが

学校では言えなかった気持ちを

打ち明けたりする場面がときどき出てくるな、

くらいの認識だったのが、

ようやくセリフの中に「大吉山」という地名をキャッチしました。

 

ミュージアム周辺の地図を見ると、

大吉山の登り口はミュージアムのすぐ近くではありませんか。

 

ということで、

遅まきの聖地巡礼をすることにしました。

登り口には山頂まで14分とあり、

「危険なので夜間には登らないように」という

注意書きの看板もあります。

家に帰ってからネットで検索すると、

アニメにあわせて夜登山を決行した人がいたようですが…
 

幅3メートルくらいのつづら折りの道が

山頂まで続いています。

舗装していないので石がころがっていたり、

柱状節理の岩が露出していたり。

 

 

高木が伸び放題の山腹はかなり急です。

バリ山行するバカはいないかな。

しかし、道から垂直についている階段を上ろうとしている

若い女性2名が眼にとまりました。

ペール・グリーンのワンピースを着た少女を

もう一人が手を取って、

まるで80歳に寄り添っているように

超スローで慎重に歩を運んでいたのです。

木と道しかないところで何か、

アニメの登場人物のような鮮やかな存在が

不思議な動きをしている。

そんな印象でした…

 

まあ人のことより、

運動不足がたたってだんだん息が切れてきました。

山道には特に面白いものはありません。

そのへんでやめようかなと思いながら歩き続けて、

やっと着きました。

所要時間15分くらいだったので

だいたい人並みの登山でした。
 

アニメで見た東屋発見。

座面はけっこう高くて

小さい子が脚をぶらぶらしそうです。

そこだけは木も邪魔にならず

平等院などが見えます。

夜は街の明かりがきれいかもしれませんが、

一人で夜来る気にはなりません。

ロープウェイつけて下さい。

 

近くにはトイレ、テーブル、ベンチなどもあり、

お弁当を食べたりするにはよさそうです。

地図があったので見ると、

登山道は東海自然歩道の一部で

さらに別の山につながっているようです。

結構です。

もう十分歩きました。

後で2019年には

久美子と奏の等身大パネルが設置されそうだ、

というXの投稿を見つけましたが、

今はただの山の上です。

聖地巡礼を別にすると、

このままでは観光地としては厳しそうです。
 

さっきの二人を見かけました。

心配するほどのこともなかったようです。

 

さっさと下って、

宇治上神社に向かいましたが、

閉まっていました。

4時半だったんですが。
 

最後は宇治橋東詰にある通圓(つうえん)に寄りました。

宇治橋東詰とは、

例のファイル/パネルの絵から

左側にはみ出たあたりのことです。

抹茶とほうじ茶ツートンカラーのソフトクリーム、

美味しかった。