『蝶々夫人』を見るために西宮北口駅にやって来た。

昼食はスーパー・アクタの食堂街と決めている。

西宮ガーデンズというものもあるが、

高いしけっこう待たされたので懲りた。

こんなしゃれたご馳走ですよ、と写真に撮って自慢する趣味もない。
 

その食堂街には魚の巣という店があって、

ちょっと高いが魚の巣御膳という刺身定食を久しぶりに注文した。

モバイルで注文して下さい、と渡されたのは、

請求書を挟むプラスチックの板に、

印刷されたQRコードが貼り付けられたものである。

この店も変わってきたなと思いながら、

注文してみると、わりとスムーズにできた。

タッチパネル式の券売機で買いたいものが買えず

適当に妥協することはしょっちゅうなのでまあこれはよかった。

しかし、いつまで待ってもお茶を持ってこないので、

お茶を下さい、と言うと、一杯100円ですが、

と言われて、アクリル板に収められた

「価格改定のお知らせ」と見せられた。

確かに、熱いお茶一杯100円と書いてある。

魚の巣御膳1280円がすでに予算オーバーなので、

あわてて断った。

あとで考えると、

水差しと紙コップはあったので、

自分で水をくんで飲めということことだったのだろう。

一言教えて欲しかった。
 

魚の巣御膳というのは、

細かく砕いた氷の上に3センチほどの小さな刺身が2切れずつ、

ホタテ、烏賊、ハマチ、鮭、マグロと

5種類乗っているのがメインである。

(記憶違いがあったらあしからず)

以前は一切れがもっと大きく、

もう少し風情のある盛り付け方だったように思う。

小さくても刺身はうまかった。

お茶がない分赤だしの量はたっぷりある。

ご飯は私の好みからいうと軟らかすぎだが、

関西ではよくあることだ。
 

厨房も接客も若い人ばかりのようだ。

ベテランの女性店員の愛想の良い接客が好きだったのだが、

シフトの関係か、人員整理でもあったのだろうか。
 

1280円に税金分だから1400円くらいかなと思っていたのだが、

レジで1280円請求されてちょっと助かった気がした。

お茶付きで1400円よりはましか。

焦りながら、

財布から引っ張り出した札から

見慣れない顔がこちらを見ている。

大河ドラマではとびきりの美男吉沢亮が演じていた

資本主義の父のシブすぎる面を見て
「初めて見ました」
「私も初めて」

とレジのお嬢さんと笑い合った。