当日のメモをもとに私なりに補いつつ

「初めての俳句」の内容を紹介してみます。
多少、端折ってありますし

実際話された内容と

異なっている点もあると思いますが、

おおよそのところは以下のようでした。

<言語を越えて世界に広がる俳句>
ネット句会では場を共有できない。
コロナによる外出制限の時代には通常の句会はできなかった。
ネット句会では世界とつながれる強みもある。
俳句は64カ国、17言語に広がっている。

エイゼンシュタインのモンタージュ理論と

俳句の二物衝撃
ジョン・レノンの言葉。
フランスでは近世の俳句アンソロジーが10万部のヒットになった。

ニューヨーク・タイムズの支局長は

「日本は詩の大国である」と言った。
小泉八雲は「詩を詠む人がいない村はない」と言った。

<日本の風土と俳句>
一方、日本の風土と俳句は深く結びついている。
日本の季節の移ろいは行きつ戻りつであり、

今の季節だけでなく次の季節を待つ気持ちもある。

例えば、春隣(晩冬、春がもうそこまで来ている)、

夜の秋(晩夏、昼は暑くても夜には秋の兆しが漂う)といった季語がある。
ヨーロッパでは季節はきっぱり変わる。

日本語には、十三夜、待宵月、十六夜(いざよい)など

さまざまな月にまつわる言葉があるのに、

中国では十五夜のみが注目される。
 

雨に関する日本語は440もあり、

その中には「虎が雨」という季語もある。

曽我兄弟の兄、十郎の恋人だった虎御前が

十郎の死を悲しんで流した涙に由来する語。

陰暦5月28日に降る雨。
(今の暦で 6 月下旬から 7 月中旬ごろ)


季語は風土や人々の思いと結びついており、含蓄の多い言葉。
伝統的な詩語。
季語の本意
季語は一語で思いを共有できるので
季語はルールというより、ありがたいと思ったほうがよい。

切れ字
切ることで言葉と言葉のかけ算になる。
 

頂上や殊に野菊のふかれ居り
         原石鼎
 

「頂上に殊に野菊のふかれ居り」ではなく
「や」で切ることで単なる実景ではなく普遍的な頂上になる。

 「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」
 

作者、杉田久女は才能があっても認められず、

生前には句集を一冊も出せなかった。
「紐」とは女性をしばっていた枷。

悔しさ、悲しさを美に託すことで昇華、普遍化される。

文学の神髄。

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世界文学としての俳句としての俳句と

文学の本質論にいたる深みも兼ね備えたみごとな講義でした。

マイクを使われていたのですが、

だいぶ耳が遠くなって

ところどころ聞き取れなかったのが残念でした。

「花衣」の句は女性にしか詠めない、

色っぽい句だなあと思っていたので、

「紐」にそんなマイナイメージがあったとは思い及びませんでした。

着物といえば、黛さんは文化庁の交流使として

1年間パリに住んでいた頃、

日本から持ってきた⒓枚の着物を

月替わりで着用されたというお話もありました。

ウィキペディアでは

1988年「東京きももの女王」受賞という経歴があったとか。

着物も付け焼き刃ではないんですね。

次回までに一句考えてくることという宿題が出ました。
兼題はなく身近な生活の中から

句を詠めばよいということでしたが、

突如黛さんから、手元の歳時記から

夏の季語にはどんなものがあるか、

発表しなさいと指令がでました。

ぼーとしてたので焦りました。

「裸もきごなんですね」

「跣もあります」
 

実はお守りのつもりで、

角川書店編『合本 俳句歳時記 第三版』を持ってきていたのです。

その前には、歳時記を俳句が初めての人たちに

回すようにと黛先生からの指令がありました。

「書き込みなどされていませんか」と

気遣って下さったのですが、

実はインターネットで

あまりにも簡単に季語が見つかってしまうので、

歳時記は新品同様のままでした。

歳時記を持っているということで

いっぱし俳句を詠んでいるようにみえてしまったようです。

いやはや汗顔の至り。

帰りの電車の中で一句ひねり出しました。

未経験の句会というものが

ちょっと楽しみになってきました。

どんな句会になったかは、

19日の講座が終わってから報告したいと思います。
 

本稿を読んで俳句に興味のわいた方は、

今からでも間に合います。

定員は30名です。

7月19日(金)13:30~15:00

ただし、一回だけでも6000円必要です。
耳よりな情報としては、願寺の総合案内所で

パンフレットをもらうとクーポン券がついていて、

一人1回無料でどれかの講座を受講できるようになっています。

スマホ等で申し込む際に

クーポンコードを打ち込む、という使い方です。
ただならとharicot rougeは調子に乗って

「未来へつなぐ短歌」に申し込みました。
2回連続講座の「初めての俳句」に

このクーポンが使えるかどうかはちょっと疑問です。
それはともかく、

現代を代表する俳人に教えを

受けられるというのは貴重な機会です。

 

 

名古屋からこらえる方もあるくらいですからね。