「悪は存在しない」も

ジャック・リヴェットの特集上映もやめて、

ただただ、中条あやみと清原果耶を見るために、

「あまろっく」と「青春18×2 君へと続く道」を見た。

「あまろっく」はなにしろ、

鶴瓶と中条あやみが夫婦役、そんなアホな、

という映画である。

配信で見られるようになるのを待っていてもいいかと思ったが、

満員の京阪特急に揺られてMOVIX京都まで見に行った。

ストーリーは

小さな鉄工所を経営している父(笑福亭鶴瓶)は

あちこちでおしゃべりしたりテレビを見たり

さっぱり働いているように見えない。

そんな父に納得がいかず優子(江口のりこ)は

何事も全力で取り組み、京大から東京の大企業へと進む。

会社で実績をあげるも、

協調性のなさが災いしてリストラの憂き目に遭い、

故郷の尼崎へ戻ってくる。

再就職もせずニートのような生活をしていると、

ある日父が再婚すると言いだし、

20歳の早希(中条あやみ)を連れて来る。

優子の子供時代を演じる子役が江口のりこと目元が似ていて、

いい子を見つけたな、と思った。

30年後どんな顔になってる?
優子の母役中村ゆりがふわったした可愛さ。

登場するだけで

この映画見に来てよかったと思わせるパワーは健在だった。

もう少し若い女優では奈緒がわりとこの路線かな。

美は惜しみなく与う。

中村ゆりの可憐な美しさは可憐な茶の間にもしっくりくるのだが、

大理石の王宮がふさわしい中条あやみの美貌が

われらの貧しい台所で耀きだすとき、

なんという美の浪費であろうか。

江口のりこについては

朝日新聞に載っていたインタヴュー(たぶん4月⒓日の夕刊)が面白かった。

ちゃんと紹介したかったが、ネットでは有料記事になっていた。

朝日新聞のケチ。

内容はちょっと違うかもしれないが、

記憶とネットで拾った断片的な記事からすると

 ストーリー展開がミエミエ過ぎる。

 結局優子と早希の同居へともっていくためのストーリー展開ではないですか。

 監督は色々な撮り方をされていたが、

 事前にしっかりイメージを持っておいてほしかった。


俳優たちは酒を飲みながら監督の悪口を言ってそうだが、

新聞のインタヴューで堂々と意見しているところが並みの俳優とは違う。
江口のりこのような人があたりに一人いてくれると、

職場などの風通しがよくなりそうだ。

「青春18×2 君へと続く道」。

台湾には青春映画の名作が数多くあったが、

本作は日本と台湾の合作映画。

ストーリーは

 台湾の高校生ジミー(シュー・グァンハン)は

 大学入試を終えてカラオケ屋でアルバイトをしている。

 そこへバックパッカーのアミ(清原果耶)から、

 財布を盗られたのでこのカラオケ屋で働かせて欲しいと言われる。

 ともに働くうちに少し年上のアミにジミーは恋心を抱くが、

 やがて別れの時がやって来る。

 18年後、がむしゃらに働いてゲーム会社を成功させたものの

 全てを失ったジミーはひとり日本を訪れる。

シュー・グァンハンと清原果耶は

W主演という扱いかと思ったが、

主人公も視点人物もジミーであり、

思ったより清原果耶の出番が少ないのが残念だった。

それでパンフレットを買うのはやめた。
後半、種明かしがされて、

同じシーンがアミ目線で描かれる。

微妙な違いに気づいて行くと胸に迫るものを感じた。

事前の精妙な設計とキャストの演技がみごとな成果を生んだ。

江口のりこも藤井道人監督にだったら文句はないだろう。

もう一度見たくなる!

黒木華が髪を染めたフリーター役で出ている。

いかにも、旅先で出会った、

さっぱりした親切気のある女性らしく感じられる。

軽打でクリーンヒット。

カラオケ屋の仕事仲間に平田敦子のような女がいた。

台湾にもいたか、あのタイプ。

タイトルの意味するところはよく分かるが、

もう少し気の利いたものにできなかったかと思う。

長いし、言いにくい。

長いタイトルをすぐ短縮したりするが、

短縮しにくそう。

原作はジミー・ライの紀行エッセイ

「青春18×2 日本漫車流浪記」。

原作のタイトルを活かしたわけだ。

しかし、テーマからちょっと外れて、暗示的なタイトル、

とか思いつかなかったのかなあ。

なんとかharicot rougeなりに考えたのは「天灯の約束」。

まあそれほど天灯は強調されてなかったか。

 

列車の旅が幾度か出て来るが、

ちなみに青春18切符とは無関係。

 アミとジミーが

岩井俊二の「LOVE LETTER」を見るシーンがある。

さすがにストーリー自体は

「LOVE LETTER」ほど巧緻を極めたものではないにしても、

本作も謎が秘められた青春譚である。

18年前のジミーと現在のジミー、

ジミーの見ていたアミと本当のアミ、

二重性は「LOVE LETTER」から受け継いだ遺伝子かもしれない。