「さよならマエストロ」の最終回ではたいへん貴重なシーンがありました。

石田ゆり子さんがフランス語で

La Merというシャンソンを歌ったのです。

石田さんは2022年10月lily名義でCDデビューを果たしているし、

フランス語は勉強中。

というあたりシナリオにも織り込まれたのでしょうか。

このシーンが見られただけでもよかったのですが、

何はともあれ最終回。
 

ドラマの最終回は着地点に着地するだけ、

と断ずれば見なくともよいということになりましょう。

とはいっても、

オケものとしては微妙にポイントをずらしてきている

「さよなら マエストロ」の着地はいかに。
 

前回(第9話)で俊平(西島秀俊)と響(芦田愛菜)が和解できました。

最終回で俊平は志帆(石田ゆり子)のもとを訪れ離婚届を渡します。

家庭内の最大の問題はすべて解決しました。

ホームドラマとしてはきれいに着地しました。
 

一方晴見フィルはオケとしての存続をかけて、

仙台のオケフェスに出場します。

俊平はドイツのオーケストラからの常任指揮者就任の話を断っていましたが、

シュナイダー先生が病に倒れたという知らせに、

ドイツ行きが濃厚になってゆきます。

 

いろいろ意見があったものの、

晴見フィルのメンバーも

俊平を送り出そうという方向でまとまります。

 

響が新にコンサートミストレスをつとめ、

ゲネプロでの演奏を最後に「さよなら マエストロ」と俊平を送り出します。

めでたしめでたし。

 

いや、やはりずらしてきました。

オケフェスのもようを詳しく描くのが定石でしょう。

音楽は盛り上げる力があるし、

競い合うとなればなおさらです。

 

ストーリー的に完結させるなら、

優勝してなんとか晴見フィルが存続できるかどうか、

まで描くところでしょう。

(一瞬コンサート会場のシーンがでてきましたが、

本来ならこうなるはずという映像と理解しました。)

 

そこまでしっかり描こうとしなかったのは、

やはりホームドラマとしての比重が重いということと、

無類に人の好い俊平を送り出すさわやかなエンディングにするには

少し力が抜けたこの着地がよかったということでしょうか。

まあ、全10話を通じて、

陰険な市長と戦ってオケを守るぞー、

というムーヴメントはあまり強くなかったですしね。
 

最後の曲に

シューマンの「ライン」をもってきたのはよかったと思います。

ちょっと重いかもしれませんが、

いかにもドイツ、

いかにも前向きな感じがします。
 

俊平が就任する常任指揮者というポスト、

一年中そのオケを振るわけじゃないよな

と思って調べてみました。

関西では一番人気の大阪フィルは、

常任指揮者というポストがなく、

音楽監督が 尾高 忠明氏です。

2024年4月から2025年3月まで10回の定期演奏会のうち

尾高さんが指揮をするのは5月、9月、2月の3回です。

もちろん定期以外も演奏会はありますが。
 

さらに、N響のホームページを見てみると、

首席指揮者、名誉音楽監督、桂冠名誉指揮者、桂冠指揮者、名誉指揮者、正指揮者(2名)と

7人ものマエストロの名前と写真があがっていました。

一番エライのは誰なんだ?

やっぱり常任指揮者はおらんのかーい。

午後の中途半端な時間に

「古畑任三郎」の再放送をやってるなーとぼんやり見ていました。

ふと気がつくと石田ゆり子さんが西島秀俊さんに

「ねえ、西島君」と呼びかけています。

高層ビルの社員食堂のようなところです。

「ゆりちゃん?あれ戻ってきてたたの?」

「そうなの年明けから」

「何年行ってた?」

「二年半」

「今は本社」

「そう。もとさや」

「旦那さんはお元気?」

「元気、元気 、元旦那になったけど」

「ごめん」

「いいの、いいの。めっちゃ自由」

というやりとりは

いかにもドラマの一場面風マクドナルドのコマーシャルでした。

今度は夫婦ではなく

久しぶりに会った、以前の仕事仲間

という設定のようでした。

 

 

この設定で連ドラを作って下さい。