日曜日は午前中剣術の練習があるので、
袴や角帯を入れる大きなリュックサックを背負い、
木刀と模擬刀が入った縦長の釣り道具入れ*を肩にかけて、
京都の高島屋に向かった。
買い物があるわけではなく、翌日で終わる展覧会を見るためである。
「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之 美の相伝」。
美人画の松園(1875-1949)、
動植物を描いた松篁(しょうこう)(1902-2001)、
奈良でたくさんの鳥を飼って鳥の絵を描いた淳之(あつし)(1933-)。
いずれも日本画の大家だが、
三人とも文化勲章受章者であり、
特に松園は女性として初の受章者だった。
あたまデッカチの現代美術とは無縁な、
穏やかで静かな、しみじみ味わえる美の世界がそこにはあった。
松園の作品はさまざまな展覧会で何度も見てきたのだが、
このたびは有名な作品からはずれたコレクションとなっていて、
こんな絵があったのかといくつも発見があった。
松篁の絵は穏やかすぎて明確なイメージを抱けずにいたのだが、
幼い娘二人をモデルに描いた作品や、
トウモロコシ畑に遊びに来た兎の親子を描いた和物ピーターラビットのような作など、
子どもにも受けそうな絵もあった。
絵の横には作者の言葉が添えられていたが、
厳しい大自然の中を遥か遠くへわたって行く鳥に思いをはせた
淳之の言葉が印象的だった。
単純に自分で飼っている鳥を描いている人だと思っていた。
やはり何十年も鳥を見つめ続けてきた人の言であろう。
展覧会自体はけっこうだったけれど、
荷物を預かったくれなかったという点は、
高島屋に苦言を呈したい。
コインロッカーくらいはあるかと思ったが、
それもなかった。
まだ寒いのでコートを着ている人が大半だが、
それも考慮しなかったのだろうか。
私はコートを着たまま重い荷物を背負って
展覧会場を巡らねばならなかった。
さいわいそれほど混んでいなかったが、
中之島美術館で開催中のモネ展のように混雑していたら
かなりたいへんなことになっていただろう。
もちろん中之島美術館ではコートとリュックはコインロッカーに、
釣り道具入れは切符売り場のスタッフに預けることができた。
(ただコインロッカーが不足気味だったということはつけ加えておきたい)
4月17日からは高島屋日本橋店で開催されるので、
東京の日本橋に行くついでがある人にはぜひのぞいていただきたい。
そこで大きな荷物が預けられるかどうかは分からないが。
*模擬刀は練習用の剣。
見た目は本物の刀と区別がつかないが、切れない。
いわばおもちゃの刀だが、筆者の模擬刀は39800円もした。
剣術用の適当なバッグがないので、
釣り道具入れは入門したての頃、
先輩たちから釣り道具入れを買うように勧められて購入したもの。
ギターケースを利用している人もいる。