朝日新聞の夕刊に富士山静岡交響楽団の文字を眼にしたときには、
「富士山」のインパクトに圧倒されながら、
晴見フィルのことを考えずにはいられなかった。
TBSの日曜劇場「さよなら マエストロ」でおなじみの晴見フィルである。
しばしば画面に富士山が出てくるので漠然と静岡あたりが舞台だと思っていた。
劇中では晴見市の市民オーケストラということになっている。
番組開始時点で3ヶ月後に廃団が決まっている、という瀬戸際のオケだ。
一方富士山静岡交響楽団は東京で開いた演奏会の記事を読んでも
なかなかの実力のようだ。
だが気になるのは、
2021年静岡響楽団と浜松フィルハーモニー管弦楽団とが合併してできたオケだという点だ。
富士山静岡交響楽団の本拠地が静岡だとすると、
浜松フィルハーモニー管弦楽団は吸収合併で消えたということか、
と思ってネットで調べると、
中日新聞「浜フィル今日解散 晝馬理事長に聞く」という
2021年3月31日付けの記事を見つけた。
https://www.chunichi.co.jp/article/227687
15年続いたプロオケである浜フィルが、
常任指揮者とミュージックアドバイザーを決め
これからというところにコロナウイルスに見舞われた。
私財を2億円つぎ込んできたが、
運営基盤をしっかりして誰かに引き継ごうと考えていた。
浜松でも演奏会があるので静響を引き続き応援して欲しい。
最後のコンサートも中止になったそうだ。
コロナではどこのオケもたいへんだったようだが、解散したところもあったか。
これだけのことから
晴見フィルのモデルは浜松フィルと決めつけられるわけにもゆかない。
オーケストラを舞台にしたドラマや映画では、
オケは解散寸前というのがお決まりになっているからだ。
記憶に新しいところでは2023年1月期、日本テレビ系ドラマ
「リバーサルオーケストラ」。
ウィキペディアを元にあらすじを思い出すと
門脇麦演じる谷岡初音は元天才バイオリニストだったが、
演奏活動をやめ、正体を隠して西さいたま市の職員となっている。
西さいたま市長の常葉修介は
地元オーケストラの「児玉交響楽団」が新ホールの杮落とし公演を満席にすると口走ってしまったことから、
ドイツでマエストロとして活動する息子の常葉朝陽を呼び戻し、
オーケストラの立て直しを依頼する。
田中圭演ずる辛口のマエストロから初音はコンマスとして招聘される。
うーん、このあたりでパクリじゃんという声が聞こえてきそうだ。
「さよならマエストロ」では
芦田愛菜演ずる響はやはり天才バイオリニストだったが
演奏をやめて晴見市の職員として働いている。
それはそうだが、「さよなら マエストロ」では西島秀俊の明るい個性を活かして、マエストロ俊平は明るく人が好くてすべてに肯定的な人物になっている。
「リバーサルオーケストラ」の方がオケ物の常道を行っているので、
「さよならマエストロ」はよくがんばって独自色を出している方だと思う。
市長は晴見フィルを廃団し青空ホールも閉館し再開発を目論んでいるという設定だ。
この市長のようにオケいじめの達人が大阪にはいた。
あの橋下徹だ。
2010年大阪府知事橋下徹は大阪センチュリー交響楽団への補助金を大幅カットした。
さらに2011年度からは補助金が打ち切りとなった。
いろいろあって、今では大阪ではなく日本センチュリー交響楽団になっているわけだ。
橋下は大阪市長時代に大阪フィルにも補助金廃止というパンチをお見舞いしてくれた。
関西のテレビ番組ではよく橋下徹が出てくるが、
あいつが出たら、ぼくはすぐチャンネルを変える。
あんな奴出すなよ。
閑話休題
6話まですすんだところでは、
あれこれオケいじめにあっている晴見フィルだが、
なんとか晴見フィルを存続しようという話はさっぱり出てこない。
芦田愛菜のバイオリニスト復帰もない。
これまでの流れでは、晴見フィルは解散し、俊平はドイツへ戻りそうである。
予測を裏切る逆転ホームランはあるのか?
そもそも「さよならマエストロ」は
石田ゆり子様出演作なので、絶対に見るに決まっていた。
ゆり子様は同じ日曜劇場で演じていた東京都知事より
ずっと自然な魅力を感じさせておよろしゅうございます。
新木優子が魔性のフルーティスト役で出ていて、
西島秀俊に迫るシーンが面白かった。
俊平は超鈍感という設定で、コメディでおなじみのすれ違いシーンだ。
どんな古いネタでも、しかるべき人がうまく演じれば面白いと改めて実感した。
ティンパニーを叩いている娘が可愛いので気になって調べると、
久間田琳加という人だそうだ。
要注目。