堀北真希は2010年(22歳)、有村架純は2014年(21歳)、そして清原果耶は2023年(21歳)。

3人とも『ジャンヌ・ダルク』が初舞台で初主演。

3人ともNHKの朝ドラ主演。調べてみると、『梅ちゃん先生』は2012年前期、『ひよっこ』は2017年前期、『おかえりモネ』は2021年前期だった。

ジャンヌ・ダルクを演じたときの年齢は21歳から22歳、清原果耶以外はジャンヌ・ダルク→朝ドラの順だった。

年2作製作される朝ドラの主演以上にジャンヌ・ダルク役を射止めるのは至難のわざだろうが、今度若手女優の登竜門的な舞台になるのかな。

ピーターパンのように毎年やるわけにもいかないか。

堀北ジャンヌはすばらしかった。

ラブロマンス的要素はきわめて希薄な作品だが、相手役といえなくもないのが、国王となるシャルル7世で、伊藤英明が演じていた。

伊藤はこうゆう役を演じたいんですよ、という声が聞こえてきそうな演技。

西岡徳馬はいかにもベテランらしい演技力で巧妙に造形した人物を提出していた、という感じ。

堀北のジャンヌこそ見るに値するものだった。

初舞台というフレッシュさと演技力の高さがうまく結びついていたと思う。
 

有村ジャンヌは見なかったが、シャルル7世を東山紀之が演じていたらしい。

年を食いすぎではないかと思って調べると東山は1966年生まれなので当時48歳。

シャルル7世が生まれたのは1411年、ジャンヌは1422年頃の生まれなのでだいたい10歳程度シャルルの方が年上だった。

史実からも、そして出生の秘密という舞台版の設定からも、かなり無理なキャスティングだったのではないか。

(ちなみに、ジャンヌが火刑台の露と消えたときは19歳だったから、主演女優はわりと史実に近い年齢だ。)

すこしは王様らしい俳優にしたかったのか、まったく別の事情でもあったのか。

伊藤英明は1975年生まれで当時25歳、2023年版の小関裕太は1995年生まれなので現在28歳。小関が一番精神的に未成熟な悩める青年らしく見えたが、当時の伊藤より年上だったのは意外だ。キャラクターの違いだろう。


清原ジャンヌについての印象はまず甲冑がとてもよく似合っていた、ということだ。

小柄なのにさかんに軍旗のついた2メートル以上ありそうなポールを振り回していた。

演技が

 

 

 

うまかったのか、下手だったのか、考えようとすると、なぜか愛しい気持ちで一杯になってしまう。

ひさびさにこんな気持ちを味わえただけで満足だ。


カーテンコールでも清原果耶はとても硬い表情だった。

三度目に舞台に登場したときに、大千秋楽をぶじ終えた挨拶をした瞬間、銀色の紙吹雪が飛び交って、一瞬笑みがこぼれた。

きっと舞台では泣くまいと決意していたから、合戦に向かうジャンヌのような表情を崩さなかったのではないかと思った。