蒸溜花 Flowers distilled from my life https://alls-well.webnode.jp/に新しい英文エッセイを掲載しました。日本語でさわりを紹介しますと・・・

 

盛装したヘンリー8世と貴族たちがシアター・ドラマシティの後ろのドアから入場し、客席の間を通って、舞台に勢揃いしました。ヘンリーの娘エリザベスの洗礼式が始まりました。私はもう一人のエリザベス、一月ほど前に逝去されたエリザベス女王を思い出しました。初めてのイギリス旅行の初日はエジンバラだったのですが、道に迷ってうろうろしていると、通りにたくさん人が出ていることに気づきました。やがて黒い車が二台通り過ぎて行きました。一瞬赤い服を着た女性と黄色い服を着た女性がそれぞれの車に乗っているのを認めました。ホテルで夜テレビのニュースを見ていると、女王がロイヤル・タトゥーの初日でエジンバラにお越しになっているという説明とともに、例の赤い服の女性と黄色い服の女性が映っていました。方向音痴のせいでほんの一瞬女王を見かけることができたのでした。

 

シェイクスピアの「ヘンリー8世」は2022年10月8日シアター・ドラマシティで見ました。彩の国さいたま芸術劇場のシェイクスピア全作上演という大プロジェクトのうちコロナで中止になった公演が復活したものです。演出は吉田鋼太郎、ヘンリー8世は阿部寛でした。

歴史をおさらいしておきますと、ヘンリー8世の娘がエリザベス一世です。ヘンリーにはキャサリンという奥さんがいたのですが、無理矢理離婚してアン・ブーリンがエリザベスを産んだわけです。跡継ぎの男子が欲しかったようですが・・・

このアン・ブーリンという人は後に処刑されてしまいますが、戯曲ではそこまで描かず華やかな洗礼式でめでたしめでたしで終わります。

本公演ではその後演出による一ひねりがありました。

初演はエリザベス女王が亡くなって10年ほど経った、1613年だそうです。なんと初演の時にグローブ座が燃えてしまったとか。詳しくはちくま文庫「ヘンリー八世」の243頁、河合祥一郎氏の解説をご覧下さい。(訳はもちろん松岡和子氏ですよ。)

 

ずっとプログレが好きなので、リック・ウェイクマンの「ヘンリー8世の6人の妻」なんていうCDを若い頃買った覚えもあります。やはりイギリスは歴史があって、それが現代にまでつながっているところが面白いですね。