文学メモ01 | 親父ライターvingt-septの息子三人子育て七転八倒

親父ライターvingt-septの息子三人子育て七転八倒

中学校教諭2年目の長男は、馬車馬のように働く毎日。
東京の大学に通う次男は4年生になり、卒業&院進目指して勉強中。
美大入学を目指して二浪中の三男は、内職が忙しくて早くも三浪確定?
毎日何かが起きる!
vingt-sept家の未来はどうなっちゃうの?

文学好きなもので、
備忘録として残します


01
うとうととして目がさめると女はいつのまにか、隣のじいさんと話を始めている。このじいさんはたしかに前の前の駅から乗ったいなか者である。


02
「まあ、綺麗。お前、そのまま王子様のところへでもお嫁に行けるよ。」
「あら、お母さん、それは夢よ。」
 この二人の会話に於いて、一体どちらが夢想家で、どちらが現実家なのであろうか。


03
石炭をばはや積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと静かにて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり。今宵は夜ごとにここに集い来る骨牌仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは余一人のみなれば。


04
半年のうちに世相は変った。醜の御楯といでたつ我は。大君のへにこそ死なめかへりみはせじ。若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋となる。


05
「参謀本部編纂の地図をまた繰開いて見るでもなかろう、と思ったけれども、余りの道じゃから、手を触るさえ暑くるしい、旅の法衣の袖をかかげて、表紙を附けた折本になってるのを引張り出した。


06
東京T・M株式会社員法学士湯河勝太郎が、十二月も押し詰まった或る日の夕暮の五時頃に、金杉橋の電車通りを新橋の方へぶらぶら散歩している時であった。


07
無理に呼び起された不快から、反抗的に、一寸の間目を見開いて睨むやうに兄の顔を見あげたが、直ぐ又ぐたりとして、ヅキンヅキンと痛む顳を枕へあてた。私は、腹が立つてならなかつたのだ。