【読書】5/12☆超人ナイチンゲール/栗原 康 | PARISから遠く離れていても…

PARISから遠く離れていても…

わが心の故郷であるパリを廻って触発される数々の思い。
文学、美術、映画などの芸術や、最近では哲学についてのエッセイなども。
時々はタイル絵付けの仕事の様子についても記していきます。

5月12日は何の日?

(答えは最後に)

 

唐突すぎる質問かもしれませんが

「超人」と聞いて

まず何を思い浮かべますか。

 

『超人ハルク』

その昔に大好きだったテレビドラマ。

科学者デヴィッド・バナー博士が大量にガンマ線を浴び

DNAに変調をきたし激怒すると緑色の大男に変身するのだ。

危険人物として追いかけられ放浪の旅を続ける身となる彼。

最初は変身シーンにくぎ付けだったが

そのうちになんと切ないのだろうという思いで

胸が一杯になったことを覚えている。

 

 

 

それとも……

やはりこの本で有名な哲学者ニーチェだろうか。

 

※こちらはまだ読んだのは下巻の最初の方まで。

 

 

そして今回

 

そんな<超人>のお仲間にぜひ加えて頂きたいもの

 

下矢印  下矢印  下矢印

 

栗原 康著(医学書院) 2023.11/15発行

「超人ナイチンゲール」!!

 

 

最初に本のタイトルを聞いて

心にずしんと杭を打ち込まれてしまった。

<超人>の後に続くのが<ナイチンゲール>

これを無視することなどできようか。

 

いつも見ているYouTube番組の

著者インタビューのコーナーで

初めてお見かけした栗原氏は

にこやかで礼儀正しくそれにハンサム♡

ナイスでイカス青年というのが第一印象。

ところが話を聞いてるうちに

こりゃ奴は只者じゃないと確信した。

奴の専門はアナキズム研究。

大杉栄という明治の無政府主義者について

評伝を書いたりしている

根っからのアナキズム信奉者なのだよ。

 

それが何故にナイチンゲールの本など?

嗚呼、ナイチンゲール、白衣の天使よ

その精神はあまりに崇高過ぎて

近寄りがたくもあり……。

 

いや待てよ、そんなはずはない。

これはただのナイチンゲールではなく

その前に<超人>が付くのだから

 

 

そんな思いで読み始めた

『超人ナイチンゲール』

こんなぶっ飛んでいる人物だったとは。

どこがどうって一言では言えないな。

全~部なんだから

一つ一つ挙げてたらキリがないし

今まで勝手に抱いてた彼女の像がぶっ壊れたね。

もちろんいい意味でとだけ言っておくけど。

 

 

一つだけ印象的だった点を挙げるとすれば

彼女もジャンヌ・ダルクと同じく

神秘体験、いわゆる神の声をきいたこと。

神から「自分に仕えよ」と。

スピリチュアルとかカルトとかの

一言で片づけないでほしいね。

あの近代哲学の父デカルトだって

神の存在は信じていたのだから。

 

しかしー

ナイチンゲールのこれらの数々の逸話を

独特のテンポ良い絶妙な語り口で

盛り上げてくれる栗原氏は

やはり只者じゃなかった―。

 

今回は敢えて内容には触れないけど

興味を持った人のために

本の構成だけ挙げておくことにする。

 

 

 

 はじめに

第一章 ある日、とつぜん神はやってくる

第二章 憑依としての看護

第三章 次のキリストはおそらく女性だろう

第四章 ハンマーを持った天使

第五章 白衣じゃねえよ、黒衣だよ

第六章 運にまかせず、その身を賭けろ

 参考文献

 終わりに

 

 

ナイチンゲールは九十歳で亡くなったが、

国葬にされるのを拒否したという。

両親の眠る村の教会墓地にと遺言を遺して。

墓碑銘もイニシャルの「F.N.」

その後に誕生と死去の日付だけを刻んで。

 

国民的英雄あつかいされたくなかった

国家に追悼されたくなかったのだ

と栗原氏は最後に付け加える。

なるほどアナキズムとここで繋がるのかー。

 

 

看護はひとつの芸術【an art】であり、

それは実際的かつ科学的な、

系統だった訓練を必要とする芸術である。

(フローレンス・ナイチンゲール)

 

 

 

(最後に)

この本は医学書院という出版社の

「シリーズ ケアをひらく」のために書かれた

一般的には真面目な書籍の部類に入るだろう。

だがこんなにもグイグイと興味深い形で

琴線に触れ得る体験が可能であると

教えてもらったことに感謝したい。

 

図書館で私の次に順番を待つ人々のために

取る物も取り敢えず

本を読んだ感想を記しておくことにする。

 

 

✨5月12日は“看護の日”

ナイチンゲールの誕生日

そして“国際看護師の日”

 

 

赤薔薇

 

 

キラキラキラキラもっと日常に対話とドキドキ文学と哲学を!!キラキラキラキラ

by vingt-sann

 

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