前回、パリ植物園を抜けシャルル・ド・ゴール橋を渡り右岸へ。
リヨン駅の時計台が見えてきたら目的の場所まではもう目と鼻の先。
最後にちゃんとここを訪れたのは確か2009年あたりか。
(その後も近くを通ったりしたのは別として)
リヨン駅の構内を抜け高架橋のあるドーメニル大通りを目指せば
まもなく懐かしいあのアーチが見えてきた。
初めての方はまずこちらからどうぞ
“アーチとはいってもパサージュに在らず”
いくら私がパサージュ好きといってもね~。
高架橋下の広場とアパルトマン
いいなあ。こんな雰囲気~
物価もお隣のマレ地区(4区)に比べれば安そうだし住みやすそう。
特に西半分を占めるこの地域はセーヌ川にも近いし。
12区って以外と穴場かも…
さて高架橋沿いにいったんバスチーユ方面まで戻って…
今回の目的はもうお分かりだとは思うけども
こちらのアーチが連なる職人のアトリエ街『ヴィアデュック・デ・ザール』
アルチザン(ARTISAN)の世界をさらに探訪する。
ARTIST(芸術家)に対しARTISANは職人的芸術家といった意味合いが強い。
(バスチーユ側の始点)
総合事務所?の壁にヴィアデュック・デ・ザールの文字。
今回はしっかりと写真に納め確認をしてから。
ちょうどお昼時で幾つものカフェやレストランがメニューを張り出していた。
いったん昼にアトリエを閉め午後から再開するところが多いようなので
私もどこかでランチを摂ることに決めた。
その名も“アルチザン”
名前に魅かれたのはもちろん一つの理由だが
アトリエ街と通りを挟んで向かい側の四つ角にあるという好条件が気に入った。
つまりアーチ側の様子を観察しやすい場所なのだ。
テラス席からの眺めはこんな様子
お客はアルチザン的というよりかはランチ時のサラリーマンや地元の人々が多い。
観光客も少ないようだし庶民的で気取りのない雰囲気だ。
注文をとるムッシュは馴染み客とは談笑するも、忙しく立ち働くせいか表情に余裕がない。
椰子の木陰に隠れるような最強の特等席を見つけたので腰かける。
さて、私が注文したのは…
いつものようにランチの定番
<クロックマダム>→定番のクロックムッシュに目玉焼きをのせたもの
実はいつものようにクロックムッシュを頼んだつもりがこちらが出てきて
ムッシュも忙しそうで声をかけずらく、まあたまにはちょっぴり+αもいいかと。
パン生地が香ばしく非常に美味だったが、とにかく量の多いこと!!
(値段は16、5€+カフェクレーム1€ ※旅のメモより)
ランチを摂った後はいよいよ目の前の職人たちのアトリエへ。
⌒⌒⌒⌒⌒⌒
その前になぜこの地区に職人たちのアトリエが集中しているのかと言えば
バスチーユ地区周辺はルイ14世の時代から王室御用達として
家具職人たちを住まわせ家具を中心とした職人街として知られてきた。
この地区のメインストリートのフォーブール・サン・タントワーヌ通りには
今もパリで唯一の職人街として職人気質の人々が住む多くの家具工房が残っている。
そんな背景の中で1969年の国鉄郊外列車の高架橋の廃線をきっかけとして
時代の最先端をゆく職人たちがそのアーケードをアトリエやブティックとして再利用するのは
いかにも古いものを大切に有効利用するパリらしい考え方だ。
アンティーク家具の修繕や愛用の欠けてしまった磁器の修理なども行う。
現在日本で流行っているらしい断捨離なるものがどういうものであるにせよ
私はやはりそういうパリの姿勢がたまらなく好きなのだ。
同時に長年コツコツと地道に技術を鍛えあげる職人というものも好きなのかもしれない。
現代の日本は熱しやすく冷めやすい人々が増えているような気がしてならない。
そのせいかは知らないが使い捨て文化というものが浸透しているように思える。
(流行に飛びつき安易に安モノを買う→すぐに飽きて大切にしない→結果ダメになるのも早い)
話が逸れたが私の所有するmarie claire Japon 1994年8月号(26年前のものだ)では
<創刊12周年記念大特集>で“パリ20区物語”をテーマとしていて
この12区を庶民の味がしみこんだ家具と家具職人たちの街と形容している。
栄枯盛衰。もちろん店の移り変わりというものはあるだろうが
雑誌の写真に写っている通りや建物などの佇まいに
殆ど変化を感じないのがパリの良さでもある。
これは雑誌の写真ではなく1998年に初めてここを訪れた時の写真だが…
今と比べて佇まいに変わりはないように見える。
変わったのはたぶん22年前の自分?そうでもないか、いや遠目にはね
因みにこの時のワンピもスカーフもまだ現役。
<それではいざアルチザン探訪へ>
ガラス工房
何といっても看板がカワイイ
作業風景その1
作業風景その2
窓が開いていて外から見学させてもらう。
およそ1分程のあっという間の工程を運よく2枚の写真に納めることができた。
3人で呼吸を合わせて一つの作品に挑戦する。
真剣なのだろうけどなんだか楽しそう
楽器工房(ギター専門店?)
看板も一目瞭然でワカリヤスイ
靴工房
ひとめぼれしたシンプルなバックスキンのパープルカラーの靴。
ペーズリー風の地模様が入っているのがオシャレだった。
タイル店のショーウィンドウ
背景に映り込むビルとが重なり合いコンテンポラリー絵画のよう
ここからは一挙にご覧ください(※女性必見)
La boutique des bijoux fantaisies (アクセサリー店)
女性の皆さま、またそうでなくともご興味ある方、お気に入りは見つかったでしょうか
そ
し
て
ブランド物に興味のない自分が思わず惹かれた服
(これは私自身であり以上でも以下でもない vingt-sann)
最後に気になったギャラリーを覗いてみた
アーティストは在廊で黒人の若い男性だった。
彼はなぜかとても不機嫌な表情で鑑賞者を無視した様子で
自分の殻に閉じこもっているように見えた。
きっと極度の緊張感の裏返しだったのかもしれない。
だがそんなことはどうでもいい、私はこの作品が気に入った。
それに特別な理由なんてない。
作品というものは本来そういうものであるべきだろう。
傍らの名刺には
Custom'Artwork peinture contemporaine
―オーダーメイドの(現代絵画)芸術作品―
ボルドー地方の独学のアーティストで
Valérie BOSという彼の名が記されていた。
※次回は高架橋上のPromenade Plantéeの未知の領域を訪れる予定です。
どうぞお見逃しなく
よろしくお願いします