パリ5区、滞在したホテルのすぐそばに
パリ植物園(Le Jardin des plantes de Paris)がある。
一度は訪れようと思いながら気軽に行かれそうなのでつい後回しにしていた場所。
滞在も終わりに近付いた日の午前中、思い立ち行ってみることにした。
目的の場所へ行く前に散歩がてら園内を抜けると言う形で。
きっと植物好き、動物好きの人にはたまらない場所なんだろうな~。
(ただし併設の動物園は有料、しかも研究機関の為のものなので大きな動物はいない)
他にも進化大陳列館、鉱物陳列館、古生物学館の展示館、
国立自然史博物館もあるので本気で見ようとすれば1日でも足りないぐらい…。
ホテルから歩いて4、5分、出入り口は確か案内図右下▲の動物園側に近い場所だったような。
正面に見える建物が進化大陳列館
真っ直ぐメイン通りを500mほど行けば正門側のセーヌ河岸へと突き当たる。
そこからSNCFのオステルリッツ駅までは目と鼻の先だ。
欧州産の170種類もの薔薇が植えられているゾーンがあるが、来る時期が少し遅かったようだ。
せめてあと一か月早ければもっと華やかに咲き乱れる姿を拝めたかもしれない。
所々に点検や水やり作業などを行う職員の姿も見受けられる。
興味深げに通りかかるのは、社会科見学なのか小学生グループの一行。
後ろに見える建物は国立自然史博物館。
少しだけ園内植物たちの様子をご覧頂きたい!!
パリ植物園は1633年、ルイ13世の時代に創設された「王立薬草園」を前身とする。
フランス革命後の啓蒙思想の時代には“自然”が重要なテーマとなり
18世紀には「博物誌」の著者として有名な博物学、数学、植物学者であるビュフォンが
庭園管理官に任命され、以後41年間もの間ここの仕事に従事した。
先ほどの進化大陳列館の真ん前にあるビュフォン(1707~1788)の彫像
(撮り忘れたのでWordPressより画像拝借しました)
木立のある通り沿いでは思い思いに過ごす人々の姿も。
木立の通りに面してこんなゾーンも隣接している。(無料)
鳴き声がするのでしばらく柵越しに眺めていたら…
何とか動き回る野鳥の姿をデジカメに収めることに成功!!
アップでどうぞ~
ここからはまた植物ゾーンへ
名前が分からないけどこういう種類の植物もいっぱい。
名札は一応付いているけどフランス語だし・・・ね。
そう言えば・・・
アンリ・ルソーの作品「夢」
熱帯ジャングルの絵を描いた中の1枚だが
このシリーズはパリ植物園でのスケッチを基に構成されたということだ。
さて、ここでこの人物に注目
これらの植物たちに交じりさり気なくこんなパネルが置かれていたので
たぶん植物園と係わりが深い人物だろうと思い一応撮っておく。
記事を書くにあたりさっそく調査を開始。
しかし、いつものことながらそれは大変な作業で
この人物が誰なのか調べようにも写真側に書かれた文字も
ドイツ語かラテン語か筆記体なのでよくわからず仕舞い。
右側上部のLes plantes medicinalesというフランス語は「薬用植物」の意味。
写真を拡大しまくり枠で囲まれた文字にヒントがありそうだと長年の勘が働いた。
↓
“Rien n'est poison,tout est poison,seule la dose fait le poison”Paraceles
これはパラケルススという人物の有名な格言と判明。
名前を聞いてたぶん薬学方面を勉強された方はピンときたはず!!
パラケルスス(1493~1541)はスイス生まれで「医化学の祖」
また「毒性学の父」とも言われる人物。
錬金術師で神秘思想家でもあったという説も。
格言の意味はまさに「毒性学の父」と呼ばれる由縁だろう。
“全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。
その服用量が毒を作る”
これには何故か大きく納得
実は私は近年便秘に悩んだ末に医者から漢方薬を処方してもらった。
漢方薬なので吞んですぐ効果が表れるものではないと聞いていたのに
数回の服用で手応えを感じて気を良くし服用を続けた。
すると今度は効き目がありすぎて下痢をしてしまったという経験をした。
もう何年も下痢などは体験していないというのに。
そういう中でこの言葉に出合ったため実体験としてそう感じるのだ。
服用量が毒を作るとは「服用量により毒かそうでないかを決める」ということに他ならない。
つまりは副作用のことを指していると言ってもいいだろう。
思わずこの人物の格言について熱が入ってしまったが、
PARISという街は私に様々の場面で思いがけない勉強の機会を与えてくれる。
滞在時はもちろんこうして遠く離れていても・・・
博物学者のラマルク(1744~1829)
かのダーウィンより65年ほど早く生まれ、自然史博物館の教授でもあり
ビュフォンと同様に植物園の後見人の一人であった人物である。
さてパリ植物園を後にSNCF(フランス国鉄)のオステルリッツ駅(13区)へ向かうことにした。
植物園を背に交差点の左側セーヌ川沿いの通りがオステルリッツ河岸で
この沿いに数百メートル行けば駅の正面玄関口に出るはずだ。
パリのSNCFで自分にとってお馴染みの駅と言えば
筆頭がモンパルナス駅やリヨン駅、それにサンラザール駅、北駅、東駅がある。
つまり後に遅れて出来たベルシー駅以外は建物や構内の様子が想像できる。
だがこのオステルリッツ駅だけはメトロの乗換駅としての利用のみで
外観から建物を眺めたことがなかった気がして。
オステルリッツ駅(Gare d'Austerlitz)/1840年開業
とても大きな駅で全体をデジカメに収めることは不可能。
パノラマ機能が付いていたことは何となく知ってはいたが
使いなれていないので正面のメイン部分だけをアップで撮る。
SNCFの路線はボルドーなど主にフランス南西部へと向かうが
その他RERC線(地下駅)やメトロ5号線(高架駅)と10号線(地下駅)の駅でもある。
橋桁の下辺りで、突如轟音と共に頭上を電車が走り抜ける瞬間を目撃。
どうやら駅2階の開口部から出てきたものらしいとわかった。
ここで自分の大変な<ああ、勘違い>が明るみに
それは後述するが、まずこの駅の構造の一端について説明しておきたい。
走り抜けた電車の正体はメトロ5号線。
つまり上の写真の2階開口部内部はこのようになっているのだ。
(借用画像)
上を走るメトロ5号線とその地下にあるRER開口部との関係
再び5号線が走り抜ける瞬間を待って撮る
しかしこの橋は、オステルリッツ橋というやつはいったいどうなってるんだろう。
セーヌ川の向こうに渡るつもりなのに歩行者用の通路はどこにも見当たらず
地上の通路と2階建てで電車が走る構造と言えば、ビル・アケム橋が有名だ。
てっきりそういうイメージをこの橋に対しても抱いていた自分。
とにかく確認すべく駅構内に駆け上がり辺りを見回すが手掛かりは掴めない。
(ときどきこういうしょうもない行動に駆り立てられる性分だ)
先程の<ああ、勘違い>の内容にもうお気づきの方はいるかもしれない。
↓
この橋はオステルリッツ橋ではなかった
「オステルリッツ高架橋」
というメトロ5号線の鉄道橋であったのだ
今回調べて知った橋の名前、「地球の歩き方のセーヌと橋の地図にも載ってやしない。
(最も橋には違いないがこういうのは例外なのかもしれないけど…)
もちろんこの時点ではそのような事情は知るべくもなく
諦めて一つ先のシャルル・ド・ゴール橋からセーヌ川を渡ることに決めたのだった。
シャルル・ド・ゴール橋からアーチ型のオステルリッツ高架橋を眺める
今回もメトロ5号線の電車が走っているシャッターチャンスは逃さずに
因みにオステルリッツ橋は高架橋の向こう、植物園を出てすぐの所にあったのに
私が駅正面から出ているものと思い込んでいたため気付かなかったのだ。
ところでシャルル・ド・ドゴール橋にはまたもやびっくり
写真の通り歩行者用のちゃんとした舗道もなく
自転車道と車道の境界線はレンガの囲いで仕切られているだけの簡素なもの。
シャルル・ドゴール空港とはもちろん比較にならないだろうけど
仮にも元フランス大統領の名前が付いた橋なのだからと思っていたら
なるほど工事中というやつだったようだ。
よく考えればわかりそうなものなのに
こんなのがかえって新鮮にARTだなと思えたり
レンガとかタイルとか気になるせいかそちらにが行ってしまうのかも。
そんなこと思いながら橋を渡っていると
正面にリヨン駅の時計台が見えてきた。
リヨン駅から目的の場所まではすぐそこだ。
懐かしいあの場所を訪れるその前に、どこかでランチを摂ろう。
セーヌ川を渡った向うの岸で。
次回のパリの旅はこの続きになります。お楽しみに~
よろしくお願いします