昔日のイスタンブール。ガラタ橋より | PARISから遠く離れていても…/サント・ボームの洞窟より

PARISから遠く離れていても…/サント・ボームの洞窟より

わが心の故郷であるパリを廻って触発される数々の思い。
文学、美術、映画などの芸術、最近は哲学についてのエッセイも。
たまにタイル絵付けの様子についても記していきます。

 フランス革命記念日に起きたニースでの傷ましい事件。

 犯人が捕まった(射殺された)からといってもちろんこれで一件落着という訳にはいかない。捜査はまだ続いている。

 それも冷めやらぬうちに、引き続きトルコのイスタンブールでもクーデター未遂事件が勃発し、一旦街は平静さを取り戻したようにみえるが果たして本当なのだろうか。エルドアン大統領は今回の反乱勢力の軍人や警察官僚などに対して、死刑制度復活などを持ち出しているともいう。


 「国民よ、今すぐに外へ出て反乱軍に対して抗議するんだ」

 正直この言葉を最初に聞いたときは耳を疑った。

 日本の某テレビのアナウンサーも「大統領がそんな危険なことを国民に指示するなんてちょっと…」と言葉を濁していたが、その理由がわかった。エルドアン大統領は国民投票によって選ばれたからなのだ。

 このところイスラム回帰主義的な独裁政治に傾きつつあるエルドアン大統領を支持している人々が多数派のうちはまだいいが、過去にも何度かこのようなクーデター未遂事件は起きているのだ。不満分子はこれからも後を立たないだろうと思われる。

 この国の今後の成り行きに、今はただ私たちは見守るしかできないのだが、近代トルコ建国の父と言われる初代大統領ケマル・アタチュルクにより、トルコはイスラム圏で唯一政教分離でやってきた国。それがまた現政権により後戻りしつつあるのは私には残念な気がしてならない…。 

             

            葉っぱ葉っぱ葉っぱホットコーヒー葉っぱ葉っぱ葉っぱ 

 

 さて、そんなトルコがまだのんびりと観光するのに比較的恵まれていた時代を(その頃でも過激派による爆破騒ぎはあった)懐かしく思い出したので少し御紹介しよう。

 1995年の春。今からもう20年ちょっと前の話だ。

 古すぎるなんて言わないで!!

 えーっ?もうそんな前になるの、と自分でも驚いているのだから。

 

 友人と2人で現地ガイドとクルマ付きの運転手を雇っての大名旅行だった。

 トルコは物価も安かったし、半月間でぐるりと見所を回るにはそれは便利な方法だったと今でも思っている。


 下の写真は当時使い捨てカメラで撮った写真だが、プリンターのスキャン機能を使ってパソコンに取り込んだ。便利な時代に感謝パチパチ
★旧市外と新市外とを結ぶガラタ橋。右手に見えるのは世界遺産のイスタンブール歴史地区建造物群の一つスルタンアフメト・モスク。内部はイズニク製の青いタイルやステンドグラスで彩られていてその美しさからブルーモスクとも呼ばれている。


私はその頃まだタイルのタの字も意識していなかったが、やはりどこかで潜在的に魅かれるものがあったのか…なぞ

 
 ★上のガラタ橋の入り口付近。名物のサバサンドイッチを売る親子?実は私は魚が嫌いなので食べなかったので持っているのは友人の買ったもの。友人いわく、量が多すぎて食べきれない。後でサバのにおいがなかなか抜けなかった様だ…アルバムに貼ってあったこの写真の説明として書かれていた。(もちろん自分が記したのだが)

このガラタ橋ではよく釣り人ちたが糸を垂らしている。たぶん今でもそうだろう。

違っているのは日本のように自分の世界に浸りきるといったふうなどこか閉鎖的な部分が少しも感じられない点である。人々はみなアッラーの思し召しのままにと、気ままに鷹揚に構えているように思えるのだ。(―誇り高き国の人々―旅と湯と風 第97号より



 当時、同人誌に所属したばかりで、何度もの書き直しの末にやっと初掲載されたエッセイの思い出が蘇る。


 書き出したらキリがない。だが今はこのガラタ橋に関する話題に留めておこう。

 最後に当時のイスタンブールについての素直な感想を記した箇所を挙げておく。

  

 …モスクなどのイスラム的建造物を除けば、外観はほかのヨーロッパ諸国と変わりはない。しかし国際都市と言われながらも人々の様子には気取りがなく、ヨーロッパ的個人主義の冷たさは感じられない。たとえばパリの街を歩くような緊張感は持たずにいられるし、誰かに一言道を尋ねれば、バス待ちの乗客から運転手、街頭のパン売りのおじさんまで集まってきて、ああだこうだと教えてくれようとするところなどは、人情味溢れる昔の日本の下町といった感じだ。(―誇り高き国の人々―旅と湯と風 第97号より





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