藤田嗣治の輝かしきパリ時代 | PARISから遠く離れていても…/サント・ボームの洞窟より

PARISから遠く離れていても…/サント・ボームの洞窟より

わが心の故郷であるパリを廻って触発される数々の思い。
文学、美術、映画などの芸術、最近は哲学についてのエッセイも。
たまにタイル絵付けの様子についても記していきます。

先日、公開されてまもなくの映画<FOUJITA>を有楽町の映画館で観た。
ご存知の方も多いとは思うけど画家藤田嗣治の映画で、監督は「泥の河」などで有名な小栗康平である。
映画の冒頭の画面でまず次のような文章が掲げられる。


パリが愛した日本人、


あなたはフジタを知っていますか?


これはいわゆる伝記的なものというよりは、藤田が生きた若き日のパリと帰国後の日本という2つの時代に焦点を合わせている。映画の3分の2は藤田がエコール・ド・パリの寵児として活躍した1920年代のパリが中心に描かれる。フジタを演じるのはオダギリジョー。(実はファンなのでありまして)

映画の解説は他の方にお任せするとして…。


私は昨年2014年の夏に映画の舞台と思しきパリ、モンパルナス界隈を訪れた。すでに何度か訪れた際にこの界隈に滞在したりもしていたが、何故か気になりつつも尋ねそびれていた場所があったのである。

その名も<シテ・ファルギエール>

画家の卵たちが切磋琢磨しつつ共に生活したアパート兼アトリエである。

残念ながら詳細で確実な情報は少なく、それでも地元の人に聞けばその名前さえ口に出せば簡単に分かるに違いないと高を括っていた。

何人かに当たってみたが、地元の人さえ首を傾げる始末。日を改めようやく見つけ出したその場所は、なんと以前に泊まったホテルのすぐ近くだった。

灯台下暗しとはまさにこのことである。



 シテ・ファルギエールの通りの表示


メトロ(地下鉄)にファルギエールという駅があるが、モンパルナス・ビャンブニュー駅から一つ目のパストゥールのほうから歩いたほうが近い。


         アパルトマンの入り口



少し開いたドアから中が見えると、画家の卵とおぼし人物が

制作中だった。現在でもアトリエとして使われているようだ。