PETIT POUCET アルザス1小さいワイナリー | フランス, アルザスワイン365日記

フランス, アルザスワイン365日記

フランス、アルザス在住言語学博士
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フランス アルザスワイナリー巡り

 

 

 

 

 

 

 

今回はストラスブールから一番近いであろうアルザスワイン街道の村で、アルザスワイン街道沿いで一番北にあるMarlenheimと言う村に行ってきた。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

実はこの村にアルザスで1番小さいワイナリーがあるのだ。

 

ということで今回はアルザスで1番小さいであろう個人ワイナリー,Le  Petite Poucetをご紹介したい。

 

こちらのワイナリー、今から10年前にワイン生産を始めたそうなのだが、おじいさんの代から兼業農家を営んでおり、自分の家で食べる食材は自分で作るという昔ながらの農家だったそうだ。

 

それから10年前にぶどう畑を引き継ぎ、最初は同じ村にあるネゴシオンと呼ばれるワイナリーにぶどうを提供していたのだが、そこのワインでは自分の所で造られるGTAND CRUのSteinklotzや、オーガニックのぶどうも他のぶどうと一緒にされてワイン生産されることに心を痛め、自らワイン生産をすることにしたと言う。

 

元々他の仕事をされていたのだが、会社にお願いして1年間休暇をもらい、ワイン生産学校に通って、それからワイン生産を始めたそうだ。フランスは企業へ1年間の休業申請ができるケースがあることもフランスらしい制度だと思う。これはワイン生産などに限らず、1年間自分の好きな事をするために取れる休暇制度のようなものがある。

 

冬でぶどう畑も少し寂しい風景であったが、雨の中わざわざワイン畑も案内してくれた。こちらのワイナリーは運よくGTANDS CRUの畑も所有している。

 

こちら冬の畑(2月)

 

こちらがワイナリーさん所有の畑。ビオの畑だ。他の場所にもあるのだが、所有畑は0,5ha.(つい先日0,6ha.になったそうだ。)もちろん、この広さのぶどう畑で生産できるワインは2000~3000本。他の仕事もされているのでワイン生産だけで生計を立ているわけではないようだ

 

また、畑を見せてもらうと一歩道を越えればグランクリュ じゃないなど、そう言う違いをはっきり見えるのは面白い。小道を挟んでそんなにも土壌が違うのかとも驚く。

 

こちら夏の畑(8月)

 

 

 
 
 
枝は切らずこうしてくるくる巻くんだそうだ。
 

 

 

 

オーガニックの畑。

 

 

ピノノワール
 

 

 

2009年からワイン生産を始め、それからすぐにビオ申請し、最初は自然派ワインではなかったのだが、徐々に生産を変え、自然派ワインにしたのはここ数年のこと。

まだ生産途中のワインを色々試飲させてもらった。自然派ワインなので、出来上がりはいつになるかは分からないが、2018年ものと2019年ものが樽に入っていた。

 
 
 
まだ樽に入っているワインをテイステイングさせて頂いた。
オクセロワ
 

 

アルザスで一番小さなワイナリーであることもあって、こちらで扱う品種は現在

オクセロワ、ピノグリ、ピノノワールでリースリングやゲヴェルツラミネールなどの畑はないそうだ。でもその分美味しいオクセロワのワイン生産をしており、顧客もここのワインはオクセロワが美味しいと知ってくるそうだ。通常ピノ・オクセロワやピノ・ブランはクレマン用にも使用されることが多く、あまり知られていない(認知されていない、人気がない…)品種でもあるが、実は美味しいワインもあるので、オクセロワもあなどれない。

 

こちらのワイナリーは珍しく、あまり有名でない、ピノ・オクセロワのワインが多い。まだ樽の中の出来上がる前のワインを飲ませてもらって、その後瓶詰めが終わった2017年も飲ませてもらったが、やはり瓶の中の出来上がったワインはかなり美味しかった。

 
 
 
 

小さなワイナリーなので、ワインの種類も多くないが、逆にその年ごとに違うワインを生産している。自然派ワインという事もあり、毎年違うワインが出来上がる。生産方法が同じであれば、ある程度は同じような味わいのワインができるが、毎年ワインが出来上がらないと味も分からない、それも自然派ワインの良い所かもしれない。

自然派ワイン意外も生産しており、そちらはぶどうも他から買っているものも多少あるそうだ。それでも現在6種のワインの生産しかない。

 

 

瓶詰め既に販売されていた2017年もののオクセロワの自然派ワインは、木樽熟成でちょっと甘さを感じるような味もした。SANS POUR SANS(直訳すると無のため何もしない)ということで全て自然のままの生産方法。これは文字遊びになっており、音声的にサンプールサンとなるのだが、音で聞くとフランス語の100%と同じような発音だ。100%自然派ワインという意味が込められている。樽の中の2018年2019年ものを飲ませてもらってから飲むと、このワインの美味しさが更に分かる。

自然派ワインは、以前紹介したワイナリーもそうなのだが、意外とこういうアートぽいというか、ワインのラベルやネーミングなど、典型的なアルザスワインとは異なり、こうした遊び心があるワイナリーが多い気がする。

 

 
 
 

 

 

この値段でこの美味しい自然派ワイン はあまり見かけないと思うので、かなりお勧めの自然派ワインだ。もちろん生産量が少ないので「輸出は書類の面も含めて、数にも限りがあるし、意外と大変だ。」とはワイナリーさんも言っていた。

自然派ワイン生産の前に、一度北海道のインポーターさんから日本にも輸出したことがあるのだが、こちらの自然派ワインは日本未入荷。

 

実はこちらのワイナリーさんは以前自然派ワインのイベントでお会いしており、前から行きたかったワイナリーだったのだが、一度約束をしながら行けず、それからしばらく時間が経ってしまった。

今回は実はほぼ思いつきである朝に連絡して「今日行けますか?」と聞いたら「午後なら大丈夫。」とその日の午後に訪れたワイナリーだ。

そんな急なアポイントにも関わらす、畑も見せてもらい、樽からまだ作り途中のワインを飲ませて頂き、色々教えてもらいながら、やはり2時間以上の滞在をさせてもらい、あっという間にバスの時間になってしまった。そしてそんなに遠くないのにわざわざバス停まで車で送ってくれた。

 

 

どこの村に行っても、本当に皆色々教えてもらえる。私のできることはこうして少しでも多くのアルザスワインを生で学びながら、アルザスワインの良さを少しでも多くの方に知ってもらえるようにできればと思う。