ナカシマ マサノリのデザインブログ

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ピンときたら書きます。
特許レベルのデザインができる後輩を育てたいと思う今日この頃です。

先日、僕の教え子を含む嵯峨美術大学の卒業生の卒業作品集が刊行されました。何らかの保護がされているものと信じて(今更非公開にはできないし)、2月8日(木)に行った嵯峨美術大学卒業制作展(会場:京セラ美術館)の感想など書いてみようと思います(めちゃくちゃ遅くなりました)



昨年は業務と重なり行けませんでしたが(楠林先生の紹介動画でのチェックのみ)、今年はしっかり見させてもらいました。



それでは、僕が3年の時に授業を担当した生活プロダクト領域の学生作品についての感想を書きます。




◎学生作品 その1

内向きの脚、外向きの脚がある収納ボックス。

設置の仕方によって、ちょっとした愛嬌、味わいを付加できます。僕的にはドロンパやO次郎のようにも見えて心が和みました(例えが古すぎ?笑)


無駄を省いた引き算のスタイリングで無愛想になりやすい収納家具でも、さり気ない擬人化表現は有効だと思いました。




◎学生作品 その2

回転ろくろで加工した多様な木製お椀。

発想を得手とする彼女が敢えて仕上げに重きを置いた作品発表とは意外でした。3年の課題で仕上げができなかったことが要因かな。濃い色は小さめ、薄い色は大きめ、といった色と形のチョイスが上手いと思いました。




◎学生作品 その3

ドールハウス玩具として使用した後、実用品として使用できるプロダクト提案。

子供にとって、木製で精巧に作られた玩具は、使い捨ての100均樹脂成形ペラペラ玩具より格段に多くの学びが得られるでしょう。時代に合った良い提案だと思います。




◎学生作品 その4

それぞれの遊び道具に遊び方の幅を持たせ、兄弟、友人での共有や、次の世代へのバトンタッチがしやすい玩具デザインの提案。その3とコンセプトは似ていますが、実用品というよりあくまで遊び道具としてのプロダクト提案(写真なのでわかりにくいですが、可愛らしいモノが多いです)




◎学生作品 その5

数枚の花びらプレートの螺旋的開閉により、空間に意図した照明効果を与えられる花型照明。

彼は熱心で、僕の事務所までアドバイスを聞きに来ていました。ユーザーが求める開閉位置でしっかり固定できる機構を考えていたので(さすが僕の教え子。機構はもちろん秘密)、ザ・インダストリアルデザインといった感じでインパクトありましたね(ブラッシュアップを期待します)

就職した会社では、新入社員代表挨拶をしたらしいし(楠林先生からの話)、今後楽しみやね。




◎学生作品 その6

部屋の角部を使った作業スペースの提案。

試しに、角部に向かって座ると右側の壁、左側の壁がパーテーションのように感じて、結構集中しやすいかも知れないと感じました(正しく集中ゾーン) それぞれのアイテムの作り込みが凄くてびっくりでした。




◎学生作品 その7

使い道の少ない帽子、フードに着目し、機能を持つプロダクトとしての用途提案。

確かに帽子、フードには、曲面加工、形状保持処理、防水撥水コーティングなど高度な技術が使われている割に、頭に被せること以外に用途はないね(外すと結構かさばるし)

ファッションとして遊べたり、ちょっとした小物を収納できたり、訪問先の気候に適合させられたり、まだまだ深掘りできそうです。

最初見た時剣道の防具のデザインかと思いましたよ笑



(総評)

ほぼ全員、スタイリングだけの提案で終わっておらず、プロダクトによる空間への影響、生活までしっかりと考えられていて良かったと思います(展示ブースを部屋に見立てると生活プロダクトとしての提案はしやすいね)


少し突っ込むとすれば、課題解決型デザインなら課題がわかる図やサンプルが欲しかったですね。

Before(課題未解決プロダクト)とAfter(課題を解決した作品)の比較パネルがあると一目瞭然です。


今回は時間をかけて完成させた作品が多く、まずその頑張りに感心しました。ご苦労様でした。


来年もとても楽しみです。




おまけに、平面系のデザイン領域の学生作品から、個人的に良いなぁと思った作品を載せておきます(僕は元々グラフィック専攻)



↑調査用グラフの形状をブランドのキーデザインにしたグラフィック作品