1979年12月12日に起きたチョンドハンを首謀者とした軍事クーデターを描いている。
クーデター派と、阻止しようとする政府軍派との一夜の攻防を分刻みに描いてスリリング。
韓国政治には疎くとも、チョンドハンが独裁的大統領になったことは知っているけれど、決着がどうなるかの描き方がリアルで、手に汗握る。
この作品のすごさは、45年前に起きた歴史的事実をリアルに再現しながら、エンターテイメントとして成立していることだ。
たくさんの敵味方に分かれた軍人たちを顔を持った個人として、小さなシーンでもドラマティックに扱っている。
チョンドハンの実像は外国人には不明だが、弁の立つ狡猾な人格として、悪役としての位置を与え、ハンサムな高潔な意思を持つイテシン司令官を正義の軍人として、対決させる構図を作った。そこで、正義と悪の攻防というわかりやすい物語にすることができた。
構成と、脚本、エキストラも含めて、たくさんの軍人をコントロールして、分刻みで時々刻々変わるクーデターの様子を描く技術。戦車が街を行く撮影、構成、脚本、編集、どれも、見事に連携して圧倒的というしかない。
内容的には、朴大統領暗殺直後の間隙を突いた軍事クーデターであるが、文民統制が全く効いていない状況下、実力組織である軍人が力を持つことの恐ろしさを切に感じる。
自己保身に走る政治家の姿を見ながら、今現在の日本の政治状況に思いをはせると、背筋が寒くなる。