今回の歌舞伎町大歌舞伎は中村屋一門の単独興行でして、勘九郎さんと息子さん二人、七之助さんと、鶴松さんと、扇雀さんの息子寅之助さんと脇の方々という陣容で、こじんまり、アットホームな雰囲気が漂い、旅回りの役者一家みたいな感じ。

 なんと、満員御礼の盛況でした。中村屋には根強いファンがいるのですね。

 

 「流星」では13歳の勘太郎さんと11歳の長三郎さんの織姫彦星の恋人同士はかわいくて犯罪ものです。親子共演、雷役で出てくる勘九郎さんの縦横無尽な名人の踊りを堪能できます。

 

 「福叶神恋噺」これは落語の貧乏神から翻案したものだそうですが。これが可笑しすぎ。脚本、演出、役者の三つがそろって、見事な世話話コメディになっている。

 怠け者の大工に女の貧乏神がとりついたのだけれど、世話を焼く羽目に陥り、恋心まで抱くというお話で、笑っているうちにしんみり人情噺になって、幕切れは楽しくて、おめでたくて、心がほんのり温かくなる。ああ面白かったと、幸せになって帰れます。

 虎之介さんは初めましてです。曽我五郎はちょっと軽い感じがしましたが、大工の辰五郎は楽しそうに演じていて愛嬌があってよかったです。鶴松さんはふっくらかわいくて世話物ぴったり似合ってます。

 

 七之助さんの美貌の貧乏神おびんちゃんが最高に可笑しい。下世話な言葉でののしっても品が悪くならない。藤娘の一節をはたき片手にドタバタと踊ったり、歌舞伎役者ならではの芸の輝きが味わえます。

 わきの方々も大活躍、歌舞伎町のホストさんみたいなのが出てきて踊ったりしてサービス精神がいっぱい。

お客に喜んでいただくという中村屋さんの精神があふれている舞台でした。

 

 

ここからはミラノ座の話

 シアターミラノ座、行ってみたい劇場で、やっと、歌舞伎で実現しました。

 ミラノ座は子供のころ初めてディズニーの映画を見に行ったところで、閉鎖がさみしかった。今ではシネマズ東宝になっている場所は、新宿コマ劇場があって、一時期、宝塚が正月公演を打っていたのです。今では体験している人少ないけどね。タワーができたというので行ってみたかったけれど、今回、やっと行けました。

 

 見上げると、巨大、そびえたってました。劇場はエスカレーターで、6階まで上がる。なれない観客が多いせいか、案内の人が何人もたってました。

 客席は、見やすいですね。900席あるけど、二階、三階があって、一階席の後のほうだったけれど、ものすごく舞台が近い。椅子はクッションはよいけど、お安い感じ。

 全体にビルの中なので、いろいろ工夫しているけれど、窮屈かな。廊下狭いし。まあ、きれいだし、ホワイエは、椅子はないけど窓際にカウンターがあって、電車の行きかうのが見えて楽しいです。飲み物の種類いっぱいある。トイレは今回演目が短いのでそれほど殺到しないけど、クリエより少しだけ少ないかな。

 終演後、エレベーターや、エスカレーターに殺到するのを避けて、アナウンスされて、席順ごとに退席なので、時間かかります。

 きれいで、見やすいので、また行ってみたい劇場です。