パワフルでした。あっという間の二時間半、リズムに乗って、一気にエンドまで突っ走る力技。エンタメロックミュージカルとして、一つの完成系では、と、思いました。

 何しろ、飽きない、白けない、感覚すべてが持っていかれる。制作、演出、周到に作り上げられたげられたチームワーク所以での勝利でしょう。

 

 物語がシンプルなのに、感情の表現が豊かでわかりやすく描かれているので、人物に対して共感的になる。

 三つの国と、頭領のキャラがきっちり色分けされていて、すっきりお話が頭に入る。ところどころの笑いも、下品にならない。それどころか、観客と心が通じ合う笑いになっている。

 それぞれの国の物語が主君と、側近のコンビになっていて、昔風に言えば、死をもって主君を正すという諫臣(りきまる君)だったりBL風だったり、月並なのですが、胸を打ちます。

 

 歌もラップだったり、ロックだったりガンガンという感じで歌われて、ダンスというより、ブレイキン風の力技のアクロバットで度肝を抜かれる。テンポよくって、照明もきらびやか、ロックコンサートみたい。豪快な殺陣の応酬で目が離せない。

 

 キャストの皆さん、ほとんど初めましてなのですが、パワフルに動いてお歌も上手、ファンになりそう。

 

 我が宝塚のお二人は、年若い男性陣と全く違和感なくまじりあって、お二人の技術の高さ、親和力に、嬉しくなります。

 湧水様、素敵すぎ、あのツンデレ感は最高です。立ち居振る舞い、殺陣の形の美しさ。

りきまるさんは、お人柄を反映しているのか、どこか温かくって主君を思う気持ちがあふれ出ていて、ビランを利用する行為もすんなる理解できました。

 

 老婆心ながら、「平和になるために戦う」というのはどうもね。ま、エンタメだし戦国ものだから、戦うのはあたりまえなのですが。今のご時世だからこそ、気になります。