有名なラファエル前派の中心人物、ロセッティを主人公にして、芸術家の創作の苦しみを描き出すとともに、彼を取り巻く画家たちを、はつらつと画きだして、青春群像劇として成功している。

 

 たくさんの有名人物が出てくると、あれもこれも盛り込もうとして、ごちゃごちゃになって、良く分からない作品にしてしまう、生田さんとか、大野さんとかとは違って、熊崎さんは、組み立て配置がきっちりとして、エピソードの取捨選択が巧みなので、すっきりとお話が胸に落ちる。

 

 ロセッティ、エヴァレットーミレイ、ウイリアムホルマンハントの男役三人を中心に置く。そして、ヒロインのリジ―、ジェイン、エフィラスキン、娘役を絡ませていく。その他幻影だのダンテだのたくさん役を作って、有名なオフィーリアの絵をダンスシーンにするとか、巧みな作品構成、演出。柴田侑宏さんを思い出す。

 文句付けるとリジ―もジェインも、その他皆さん、男性に自己犠牲を払って尽くす女タイプばかりなんですね。そこが難点。

 

 でも、

宝塚に才能ある演出家さんがまた出て来て、嬉しきかな。

 

 そして、極美さんや、天飛さん、碧海さんたちが、既成画壇に異議申し立てをする画学生たちのいら立つ青春を演じ、彼女らの若さと重なって、舞台には清々しい風が通り抜ける。

その後の各自の苦い人生の在り様が悲しい。

 

 極美さんのロセッティは自己中心的で、少し嫌な奴過ぎるかな。あれでは人が寄ってこないだろう。

彼女の持っている人を虜にしてしまうあの笑顔をもっと多様すれば、彼のもとに人が集まるわけが分かり、女性が惚れるわけに得心がゆくだろう。

 文句付けていても、いい芝居してますよ。長い手足、細い身体が「若者」を体現しています。若きスターはお歌も上達してくるでしょう。

 

 天飛さんも熱い芝居、ダンスの上手さが魅力的、お歌も頑張って。女性陣は皆さんおじょうずで、歌われるとほっとしますね。星組も実力娘役がいっぱいです。