宝塚では、相思相愛、究極の恋愛をロマンティックに描いて、ファンを夢の世界に誘い込む。

 その物語の背景や道具立てに戦いや革命を用いることがよくある。見るほうも、主人公のカッコよさや、戦いのシーンの躍動感に胸をどきどきさせて見守る。お楽しみの一つだ。

 

 しかし、今現在、毎日テレビや新聞で報道される、リアルな戦争を目の当たりにして、素直にスペイン内戦の話にのめりこめない自分がいた。

 現実に家を焼かれ、人が殺されているテレビで映し出される光景は、舞台を見ていても、ファンタジーとしての戦争に現実の悲劇が、上書きされてしまうのだ。

 なので、本作品のたくさん出てくる戦いのシーン。どれも、迫力があって、マスの動かし方が美しく効果的で小池さんの巧みな演出が光る。民衆の魂の声が劇場に響き渡る。見事な宙組生のパフォーマンス。それだからこそ単純な正義と悪という分け方で進行するに物語を楽しめない。

 

 戦争を描くとき、「祖国のために、愛する人のために銃をもって戦闘に参加する若者の悲壮な覚悟」は見ているものの心を打つ。

しかし、祖国のために命をささげるのは、美しいのか。人としての生きる道なのか。戦争は敵という人間を殺すことなのだ。

 

エンターテイメントは平和だからこそ楽しめるものだとつくづく思わされた作品だった。