なんといっても、この作品の核となるのは大スターレイチェルのボディガードになるフランクファーマーという人物の人格だろう。

この独特な人物の存在あればこそ成立する恋愛であり、物語である。

 

 謹厳実直、慎み深く、寡黙で律義、お役目大事で、死を賭して依頼者の命を守る。彼の行動様式は、自己を主張する欧米人にはないパターンだ。

 中世の騎士道とも違う。、騎士は華やかで自身の名誉を重んじ、思い人を持ち、諸国を流離う。滅私奉公は自分のため、主君に忠義を誓う忠臣とは言い難い。「ボディガード」のキャラはクロサワの志村喬や三船敏郎のそれだ。

 

 身近にいない人格だからこそ、レイチェルは惹かれていく。命に代えても、自分を守るという彼の言葉を愛の言葉と同一化してしまうのだ。

彼は彼で、憎からず思う故にレイチェルの魅力に負けて、ベッドを共にしてしまうことを任務の逸脱、本分を外れた行為と恥じる。だから、恋愛は成就しない。ビターエンドは当然なのだ。この辺ははっきり描かれていないので、二人の別離で終わるのはしっくりこないのだね。

 

今回トリプルキャスト、新妻さんか、柚希さんか、迷ったのだけれど、ホイットニーーヒューストンなら、歌でしょうということで、新妻レイチェル。

歌唱は抜群、Always love you涙が出そうに素敵で痺れました。

 

  しかし、姉のニッキ―役で出ていたAKANE LIVさん。宝塚雪組の神月茜さん。コムちゃん率いる雪組時代、素敵な男役さん出てきたわと、喜んでいたら、あっという間にやめてしまって、(研5)ものすごく残念と思っていて、その後ロックバンド結成したりしてお名前だけは目にしていたのです。

 今回何十年ぶりで退団後はじめての舞台拝見。声が綺麗で抜群の歌うま。スタイル良くって、さすが元男役、新妻レイチェルより背が高いしお顔華やか、妹に嫉妬する役だけれど、彼女もスターになれたよねと思ってしまう。

 

 調べたら、柚希礼音さんとド、同期!なのですね。びっくり、それなら、レイチェルとニッキ―が並んで歌うシーンがあるので、同期同士で見たかったなと思ったけど、後の祭り。

 

 お話は映画よりシンプルなサスペンステイスト入りの恋物語、まあ、映画は30年くらい前のだから、大方忘れてしまったけれどね、姉のニッキーはこんなに出てこないし、舞台版は才能ある妹に人生をかすめ取られてしまった姉の悲劇という色合いが強く出ていたし、恋に落ちる過程や心の動きが丁寧に描かれていて、心に残る作品でした。

 

 そうそう、大谷亮平さん無骨なサムライフランク、ケヴィンコスナーとは印象全く違うけど、ものすごく好感持てました。