「CALL」

いわゆるピーターブルックの「何もない空間」的な発想で作られたかんじなのだが、メルヘンティックな妖精たちのおしゃべりみたいで楽しい仕上がりになっていた。

 観客のいないシアタークリエ、でも、演者には見えない向こうには配信で芝居を見ている観客がいる。空っぽの席を映すことで、映画のスタジオとは違うことがわかる。

 劇場とは、演じるものと見るものが共にいる空間のはずなのに、空っぽの劇場で演じられる芝居、この違和感を演者も配信の観客も共有することになる。ここがこの作品の企みだとわかる。作者は小劇場で芝居作ってる方なのでしょう、三浦直之さんの芝居見てみたいです。

 

 観客のいない静寂が支配する芝居の妖精たちが劇場のスピリットともいうべきものを体現しているドローン君と会話する。毎回芝居を見に来ていた者同士が仲良くなった話をする。観客がいないというこの欠落感。

 

 三人の陽気な妖精の明るく無邪気な様子が、暗くなりそうな芝居を元気に引き立てる。妃海風、田村芽実、松本華のトリオが無垢で愛らしく観念的なテーマが活気づいて動き出す。三人のハーモニーが綺麗。妃海風さんは心底明るいのだね。芽実さんかわゆいし、松本華さんは初めてだけど、芸達者だわ。インタビューしてほしかった。

 

 「Happily」は、白い美しい、poetryな舞台。夢と現実の交錯した世界を描いた趣向は良いけれど「世界を愛せますように」とか、言葉が浮遊してとらえにくい。海宝直人、生田絵梨花人のハーモニーが綺麗で、トータルに夢幻世界を楽しめばよいのだろう。