題名からすると、野党政治家の政治的理念、主張、信条が語られる話かと思ったのだが、彼の具体的な政策、主張はあからさまに言われることもなく、はじめは物足りなかった。現政権に対する抗議や、反発も一つ一つ具体的には主張されない。党利党略の政治の裏話や、駆け引きの暴露話の意外性も盛り込まれない。
描かれるのは、政治家を志して、日本を変えたいと奮闘する愚直なまでの男の姿である。ここにこの映画の描きたいものがあった。
32歳の時、東大卒、総務官僚という、世間的にはエリートの勝ち組という立場を捨て、衆議院議員に立候補した17年前からカメラは回る。
香川県高松市を中心地盤とする香川一区。小選挙区下、自民党議員としのぎを削る。その6回の選挙や議員になっての政治活動を描いていく。演説、握手、やたらお辞儀をし、人々と、ふれあい、腰の低さには驚きがある、議員は傲慢というイメージがあるが、それが一切ない、17年たっても、家賃4万7数千円のマンション暮らし、清貧という言葉が浮かぶ。
初めて、立候補の頃、反対する父や母、仕方なく付き合う妻、小さな子供たち。それが、十数年、選挙を戦い、彼の信念に巻き込まれて生きていくうちに、彼らも一体化して、彼の夢の実現を、応援するようになった。映画の後半の「娘です」「妻です」とゼッケンつけて選挙戦を戦う家族の姿は胸迫る。
小川純也という、一人のおとこの人生の夢を追い続けるひたむきな姿に胸が熱くなり、政治信条を超えて応援団になってしまう。