イヤー良かったです。素敵な舞台でした。


 冒頭の、ターバン撒いたエキゾチックな衣装で、シェーラザードを踊った姿の美しさ。 

不敵な笑みを浮かべ、ナルシスチックに自己に陶酔して踊る官能的なヴァーツラフ ニジンスキーのチギちゃん(早霧せいな)ガツンと、やられました。

 キタロー君(緒月遠麻)のお髭のディアギレフもセクシーで、これから始まるお芝居に胸が弾みました。


 この舞台の成功は2人の好演も勿論ですが、好演を引き出した、台本のよさが先ず挙げられます。

原田諒さんは新人なのかな、見事な本を書き上げました。


 まず、お話がキレイに整理されていて、ムダがなく、すんなり頭に入る。時代背景も、ヴァーツラフの生い立ちや、ディアギレフとの確執、ロモラとの恋、芸術表現の悩み、うまーく語られていました。


 最近の宝塚の作品は役を振るためか、やたらと、脇筋をつくり、話が混乱して、わけが分からなくなるケース多いです。今回は作者の技量が高いのでしょう。今後を期待してしまいます。


 演出もいいですね。たくさんの場面があるのに、大道具を上手く出し入れして、上手く展開しているし、マスの遣い方も洗練されています。

 バレリーナのコミカルな練習風景も面白かったし、群集に新聞を持たせ、ディアギレフの歪んだ顔を描いて、ヴァーツラフの心理を視覚化したのは唸らさられました。

 芝居が終わった後の、ショー場面でも、物語を後追いするような演出で、観客の名残惜しい気持ちを癒してくれました。


 台本が良ければ、役者は活きます。チギちゃん代表作になるでしょうね。

 繊細で、傷つきやすい世間知のない芸術家肌のヴァーツラフを渾身の力で演じ、踊り、ヴァーツラフを生きていました。

 はかなげで、壊れそうで、切ない天才ダンサーの姿が私たちの胸に飛びこんできました。だから、哀しいラストに胸が痛かったです。


 キタロー君のディアギレフは美しくって素敵でした。最初、こんなに紳士的で、ストイックで、いいのかなと、疑問を持ちました。

 ディアギレフと言えば、海千山千の興業師で、金儲けと、上昇志向の傲慢な野心家であるはずで、キタローディアギレフは立派過ぎるなあと思ったのです。

 でも、考えました。彼はホモセクシュアルで、ヴァーツラフとの関係はそういう関係であることは、冒頭のラブシーンで提示されます。

 なれば、あんまり、やり手の、エネルギッシュな中年男で演じてしまうと、ヴァーツラフとの関係が穢く見えすぎる。

 そこは、夢と、イリュージョンで、出来ている宝塚ではやってはいけない。あくまでも、ファンタジックな幻想のなかで、表現されなくてはいけない。ファンも生々しいヤオイ関係は見たくない。

 

 そう思って、キタローディアギレフを見直すと、精神的な切ない愛が浮かび上がってくる。人を愛する気持ちは相手が男であろうと、女であろうと関係はない。

 愛すればこそ、ヴァーツラフを束縛するし、嫉妬に狂って、バレエ団を解雇したり、また、難渋から救いもする。


 だから、愛の賛歌を歌い続ける宝塚では、この内省的で、紳士的なディアギレフで、いいと思いました。もう少し、感情の爆発や、心の動きが表現された方がと良いとは思いますが。

 

 何より、2人の並ぶ姿が美しい。華奢で、はかなげなチギヴァーツラフと、お髭はやした背の高い包容力あるキタローディアギレフのカップルは素敵なのです。

 この美しさは宝塚ならではだと思います。宝塚だからこそ表現できる愛の形。他の世界では生々しくなりすぎてこれほど美しい精神性は表現できないと思いました。


 昨日はオマケがありました。全く知らずにチケットを取ったのですが、トークショーが付いていました。


 チギちゃんキタロー君、大凪さん蓮城さんが出ましたが、全然盛り上がらなくって、笑ってしまった。

各自何故か小道具を持って出て来ました。、カメラ、お裁縫の赤い針山を手首に巻いたり、ほうき、籠など笑いを誘ってましたが、何となく持って来たみたいでした。

 皆さん、盛り上がらないのに困っている風で、可愛かったです。