見てきましたよ、「Top Girls」


配役すごいですねえ。今をときめく魅力的な女優7人揃いました。

主役は寺島しのぶ。小泉今日子 渡辺えり 鈴木杏 池谷のぶえ 神野三鈴 そして、ターコさん麻実れい


 皆さん、2役、3役の大奮闘、見ごたえ十分の舞台でしたが、最初面くらいまいした。


 幕開き、舞台はレストラン、白いテーブルクロスの食卓、ディナーパーティが開かれるらしい。

スーツを着たキャリア、マーリーン(寺島しのぶ)の昇進パーティが開かれるが、招待された人々がびっくり。


 時代も国も異なる女たち。

 19世紀スコットランドの女性旅行家。平安貴族の女御。9世紀の女性大司教。ブリューゲルの絵画の中にいる農民。中世の若い人妻。


 これら、異色の面々が、ワインを飲み、フルコースの食事をしながら、自分を、宗教を、男性関係、ナドナドを語り合う。まさに、ガールズトーク。

 歴史的に馴染みのない女たちだし、会話が重なるように演出されているので、少々分かりにくいが、一生懸命に聴いていると、結構おもしろい。しかし、観客としては、ドラマチックなストーリーがあるわけではないので、芝居に乗り切れない。


 しかしです。これは、落語でいう「まくら」のようなもの。この「まくら」と意匠の異なる二つの章の三部構成で戯曲が出来ています。


 

次のシーンからはリアルな働く女の現実がドラマとなって、現れてくる。

場所はマーリーンのoffice.

 人材派遣業の取締役に昇格したばかり。そこで、働くキャリアの女が鈴木杏と、小泉今日子。彼女達の経歴、生活が語られ、また、客として、転職を志す女達あらわれる。彼女らの職業人としてのエピソードが、生々しく、ユーモアを交えて展開するところが笑える。働く女達の本音と、生態が諧謔と、風刺で描かれる。


 そして、三つ目。ここが、この作品のミソ。ドラマティックに盛り上がる。

 

 アンジーという田舎じみて、しかも、少々とろい女の子がofficeにやってくる。

渡辺えり扮するアンジーはマーリーンの姪。成人しているのだが、心は少女のままだ。

 辺鄙な田舎に母親(麻実れい)と住んでいたが、カッコよくて憧れの叔母さんに会いたくて、母親に内緒ではるばるやってきてしまう。洗練された職場には全くの異分子。悲しいほどに異質な存在。

 

 そして、舞台はアンジーがまだ、15歳のころの過去にフィードバック。

 マーリーンは何年かぶりで故郷を訪れる。

彼女は、 田舎から、立身を企て、成功するために都会に出て行った。一方、姉は、親の面倒を見ながら田舎に居ついている。久しぶりで故郷を訪れたものの姉と妹の心は通わない。

 

 この場面で、マーリーンの過去が顕になり、生き方の異なる姉と妹、二人の女の丁々発止のセリフの応酬で舞台が熱を帯びる。間に入った、純粋なアンジーが悲しい。



 生き馬の目を抜く競争社会でキャリアを積む女の胸のうちや、苦しさが、芝居となり、

女優の演ずる女たちが、知的に構成された戯曲のなかで、現実の女と重なり、見ごたえ十分。


 描かれる女のユーモアに笑みを漏らし、悲しみを共有しながら、社会に生きる女の強さを思う。


 女優さんたちも、実力発揮。渡辺えりさんの澄んだ心を持ったアンジーには泣かされました。

 あの美しいターコさん、王妃や、女王が似合うターコさんが、労働者階級のお掃除を生業とする女性を演じるとは。何となく、「屋根の上のバイオリン弾き」のゴールでのようでしたわ。