東京芸術劇場に行ってきました。ターコさんの芝居です。

 面白かったですね。まず戯曲の面白さ。ジャン コクトーはターコさんの「双頭の鷲」で初体験、もう20年くらい前になるのかなあ。それ以来です。


 この芝居はゲームというかパズルのような面白さがあります。コクトーは理数系の頭も持っているのですね。

内容は凄いですよ。父、母、伯母、息子、その恋人、この5人が三つ巴どころか、5人が入り乱れて、チェスの駒のように、指しつ指されつ、ゲームのような愛憎劇を繰り広げるのです。


 パリのブルジョワ家庭。母イボンヌと22歳の息子ミッシェルは溺愛と依存関係。伯母レオと父ジョルジュは恋人同士だったのに、レオの妹イボンヌと結婚し、なんと、4人で同居。

 コレだけでも凄いのに、ミシェルの恋人マドレーヌはなんと、父親ジョルジュの愛人だった。


 どろどろの愛憎関係なのに、凄すぎて、笑ってしまう場面も幾たびか。


 役者は皆さん上手かったです。迫力凄い、ターコさんの他に佐藤オリエ、中島朋子、中嶋しゅう、あと、新人かな満島真之介、ミッシェルです。初演はジャンマレーだったそうです。コクトーの恋人ね。


 大人の芝居、というか、いかにも、エスプリたっぷりきかした、フランス人の世界、深刻なのに、笑えるという作り、ちょっと、文化の違いを感じました。日本人ではこういうの作れないだろうな。陰湿な世界なのに、エレガントなのですよ。


 ターコさんはイボンヌみたいな感情丸出しの奔放な役はあまり合わない様な気がします。上手いんですよ、スゴーク難しい役なんです。また、賞をもらうかもしれないくらいね。


 でも、今年グローブ座で演じた「冬のライオン」みたいな権謀術数の限りをつくす、エレノア ダキテーヌのようなカッチリした威厳のある役のほうがあっている気がします。だらしないセクシーな役は向かないのではと想ってしまうのね。ま、私の好みなんですけどね。

 でもね、宝塚時代から追いかけて、ファン暦長いことね。こんな素晴らしい女優になってくれて、ファン冥利に尽きますわ。


 書き忘れ、演出熊林弘高さんという方、初めてなんですけど、円形で、三方を客席が囲む舞台。黒と白と赤で構成されていて、斬新でしたし、、濃密な舞台を作り上げていました、名前、覚えておきたいです。