ここ数年恒例になっていますが、今年も中米をお分けいたします


 中米とは、刈り取った米を選別した際に出るくず米の、その中からマシなものを選り分けて得られる米で、一般に流通される上級米には劣りますが、業務用の激安米や農家自身の食用米などで消費されるものです。良く言えば「まかない米」ですかね。


 条件は以下の通りです。


・販売期間は12月いっぱいまでとします(在庫状況でそれより早く締め切ることもあります。たぶん品切れは無いと思いますが)

・価格は5キロあたり1500円5キロ単位で20キロまでお受けします。20キロを越えるご注文の場合は荷物が2箱以上になってしまうため、送料が余計にかかります。
送料は20キロまで品代と別途で800円頂戴いたします(クロネコヤマトの宅急便)。
・未検査の中米ですので、品種名、年産、産地は表示していません。
・中米と食べ比べてみたいというご希望があれば、普通に扱っている新米コシヒカリも一緒にお送りします。こちらの価格は5キロで2800円です。
お支払いは運送業者の方に支払う代金引換でお願いいたします。
・今年の中米はコシヒカリにミルキークイーンをブレンドしてあります。ミルキークイーンはうるち米(普通のごはん用の米のこと)ともち米の中間のような米で、もちもちした食感が特徴です。



・ご希望の方は、
 氏名・郵便番号・住所・電話番号
 希望数量、もしあれば希望配達日と配達時間を書き、
 koumet@gmail.com
 までメールをお願いいたします。折り返しメールを返信しますが、都合によりしばらく遅れることがあります。「お米がどうしても早く欲しい」など事情がある方はメールに一言お願いします。

 問題:農薬取締法上、農薬として使用できる物質には、以前紹介したように特定農薬への登録保留資材リストのせいでとんでもなくたくさんの物があるが、さすがにホメオパシーレメディは無い。ところでレメディは事実上ただの水または砂糖だが、この時レメディを使いながら「水(砂糖)を撒いている」という主張は農取法上適法か?




 答:本来はダメ。本来の農薬では剤形が変われば違う農薬なので、たとえ同じ有効成分であっても粉剤と粒剤では別々に登録を取らなければならない。
 ただし登録保留資材リストには剤形の指定は無い。ついでに言えば使用量や使用濃度の規定も無い。なのでリストの資材に限ってはどのように使っても有効となる。


 要するに今の農薬は、農水省がその効果と安全性(使用基準を守った上での安全性)を担保した資材より、適当に応募されたわけのわからぬ資材群の方が遥かに甘く扱われているという、これが現在の農取法の問題のひとつです。
 いまだに納得いかん。

 先日、山田前農水相が農業の戸別所得補償制度で農業人口の増加を目指すような事を言っていました。今現在はこの補償制度は稲作だけに適用されていて、畑などへはまだこれからの話です。そちら方面に対してはいかなる制度設計になるのかまだ分かりませんが、稲作のと同じように面積の多寡が効くような制度では大臣が望むような成果は上がらないでしょうし、そもそも現時点で稲作への戸別所得保障制度は結局は米の価格を下げる口実にしかなっていません。


 今の制度は10aごとに15000円の補償と、米価が大幅に下落した場合の補填になっていますが、下落の基準は過去数年の平均価格なので、米価が徐々に下落していけば基準のほうも徐々に下がっていきます。
 近年米の価格が上がったためしはなく、上げるとしたら厳しく減反をして供給量を相当に搾るしかないのですが、従わない農家が多く、減反には批判が多く、仮に出来たとしても米不足となればそら来たと外米を入れてしまうので、やっぱり価格は支えられません。


 そういうわけで農業センサスにも現れていたように、将来が暗くなった農家の数はどんどん減っているわけですが、山田前農相や経団連の人たちのような偉い人が農業を語るときに不思議なのが、農家はなろうと思えばいつでもなれると思っているように感じることです。
 それは被害妄想かもしれませんが、今いきなりゼロから専業で農業を始めようと思ったらかなりのお金がかかり、特に稲作で食っていこうとするのはもしかしたら国会議員になるより難しいかもしれません。何のツテもない人が農業を始めるには、今なら従業員を募集しているような大きな農業法人に就職するのが一番無難でしょうが、独立した専業農家になるなら野菜で、しかも作物をちゃんと選ばないとまずできません。


 もっとも農家になるのが難しいと言っても、週末だけ仕事をする趣味的な兼業農家にならばまあ誰でも出来ます。ただしそれは農業経済学者たちが批判する、高コスト体質な農家そのものです。いくら農業人口を増やしたくても、そういう趣味人を増やして補助金をポコポコ流していてはお金などいくらあっても足りないでしょう。


 さてそうではない、ちゃんと食べていくだけの稲作農業を始めようと思ったら、まず当然必要なのは田んぼですが、その面積が15haは必要です。150000平方メートルです。それだけの土地を、買っても借りてもいいですが、いきなり最初から用意しなければいけません。
 なぜそれだけ必要になるかですが、2006年の資料ですが米の生産費のデータがあります。


平成18年産米生産費
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/seisanhi-kome2006/seisanhi-kome2006.xls


 ここでは面積別に見られるのですが、15ha以上の経営の場合は60kgあたり10964円かかっています。農業を始めたばかりの場合は米の売り先はほぼJAしかないでしょうから、JAに売るとすると近頃は良くみても60kgあたり12000円程度にしかなりません。米の生産費の中には人件費も入っていますが、同じデータから2673円を抜き出し、販売利益と合わせて60kgあたりで農家の手元に残るお金は3709円となります。
 10aあたり9俵とれるとして、15haでの生産量は1350俵=総売上で1620万円、手取りは500万7150円です。15ha作るには最低二人は欲しいところですから、山分けして一人当たりの年収は250万円ほどになります(税引き前です)。


 10haだと同じ計算で利益は305万円にしかならず、二人は養えません。今どき年収250万円(年齢関係なく)というのもけっこう厳しいと思いますが、まあよそでもそういう業界はあるので良いとして、それでも米専業なら最低15haは必要というのはわかると思います。田んぼの価格は場所によってピンキリですが、買うならばかなりまとまったお金が必要なのは想像に難くないでしょう。15万平方メートルは東京ドーム3個ちょっとぶんです。しかも「低コスト農業」の場合、それは特定の地域にまとまって必要になります。各地にちょっとずつバラバラに田んぼがあって合計15haでは、とても上に挙げたようなデータの金額では作れなくなります。


 もちろん休耕地が増えている現在、田んぼを借りるのもいいのですが、休耕地とはほぼ間違いなく、条件がひどい土地です。そういうところを作るには技術が必要で、始めたばかりの新米農家には荷が重いものです。出来ないことはないでしょうが減収にはなるでしょうし、そのぶんの貯蓄は当然必要です。


 当然、農業を始めるのに必要なのは土地だけではありません。トラクター数台、作業機、田植え機、コンバインとここまでで小さめの機械を選んでいても2千万円くらいにはなります。それに機械を保管する倉庫を建てて2千万、乾燥調整はJAに頼むとして(大規模農家なら自分でやりたいところですが)、その他細かい初期投資がかかって、忘れちゃいけないのが最初1年間をしのぐ生活費。土地のことも合わせると、稲作農家を新規で始めるとしたら1億くらいはかかるのです。しかもそれは技術や経験などといったものを抜きにした、ハコだけの値段です。
 ちなみに上のほうに書いた戸別所得保障でもらえる、10aあたりの補償額15000円は、15ha作って225万円です。


 稲作農家は後継者というか、親と一緒に・親の後を継いでと言う場合がとても多いのですが、それは初期投資がすでにあるから、逆に言うとゼロからはハードルが高すぎるからそうなっているのです。


 日本の米は高いとか高コストだとかいわれても、茶碗1杯40円の品物がそんなに高いか?と思うのですが、実際には初期投資を無視したとしても赤字だといいたくなる仕事で、まあ叩いて叩いて辞めさせるのも結構ですが、一度潰したものは土地も人も元には戻らないよというお話です。

 農水省から、2010年版の農林業センサスが公表されました(速報値)。農林業センサスとは、国が農林業の実態を5年ごとに調査している統計データです。
 とりあえず概要はこちら。
> http://www.maff.go.jp/j/tokei/sokuhou/census10_zantei/index.html


 さてこれは報道でも取り上げられました。最も関心を呼んでいたのは農業就業人口の推移で、5年前に比べ22.4%も減少して約260万人(△75万人)、平均年齢は65.8歳となったそうです。



時事ドットコム:農業人口、5年で22%減=減少率最大、高齢化が要因-農水省調査
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201009/2010090700156


 農林水産省が7日発表した2010年農林業センサス調査の速報によると、2月1日現在の農業就業人口は260万人となり、前回調査(05年)に比べ22.4%減少した。減少率は比較可能な1985年以降で最大を記録した。
 就業者の平均年齢は63.2歳から65.8歳に上昇した。同省は就業人口減少について「高齢により農業をやめた人が増えたのが大きな要因」(統計部)とみている。


 山田正彦農水相は7日の閣議後会見で、農業就業人口の大幅減少に関し「平均年齢も65歳になっており、早く戸別所得補償制度を本格実施したい」と強調。恒常的にコスト割れしているコメや畑作物を対象にした同制度の実施を通じ、就業者を増やす必要があるとの認識を示した。


 就業者を男女別にみると、男性が16.6%減なのに対し、女性が27.5%減と落ち込みが際立った。これについては「農業で補助的な仕事をしていた女性がパートなどに出て行った可能性がある」(同)としている。
 農業で一定以上の収入(年間50万円以上など)を得ている販売農家数も16.9%減の163万1000戸と大きく減少した。一方、耕作放棄地は40万ヘクタールと2.6%増加した。(2010/09/07-11:13



 就業人口が22.4%も減ったとなると数字としてかなりのインパクトです。ただしセンサスの内容を見てみると、概要の図4に経営耕地面積規模別農業経営対数の増減率という項目があるのですが(なんちゅうややこしさや)、要するに経営面積別の農家の数をみると、5ha以下の農家の数は減っていて、特に面積が小さくなればなるほど減少率も大きいのですが、5haを超える規模の部分だけをみるとむしろ数は増えています
 (ただし30ha以上の大規模農家は21.8%も増えていることになっていますがセンサスの概要に示されている図は増減「率」なので、もともとものすごく少ない大規模農家はちょっと増えただけで率が跳ね上がるので注意は必要です)
 1経営体当たりの経営耕地面積も増えており、これらを総合すると、小規模農家がものすごく減って、残った農家は辞めた農家の土地を借りて大規模化を志向したという結果が読み取れます。自給率もほとんど横ばいで、生産力がそれほど大きく減ったわけでもありませんし。


 農業人口の減少の原因ですが、農水省は農業人口の高齢化が主だと考えているようです。たぶん正しいと思うんですが、ちょっと考えると面白い話で、つまり辞めた農業者の大半が高齢者(農業現場で言う高齢者は最低70代から)とすると、その層が20%ほども減ったら農業人口の平均年齢は下がってもおかしくないはずですが、むしろ2歳以上も上昇しています。ということは若い人が全く入ってないって事ですね。


 さてこの農林業センサスはあくまでデータであって、それを見る人、あるいは立場によって中身の価値は変わるはずです。
 つまり読んでいる人間が何者かが問われる、みたいな事ですが私が気になっているのは山田農水相です。


 先ほど、私は今回のデータから「小規模農家がものすごく減って、残った農家は辞めた農家の土地を借りて大規模化を志向した」ということを読み取りました。これは過去にブログで何度か書いてきましたが、本間正義などの農業経済学者たちが「こうするべきだ」と常々主張していた方向です。つまり、もともとそういう主張をしてきた人たちにとっては今回得られたデータは喜ばしい結果のはずです。
 今回、農業経済学者たちのコメントは見ていないんですが、私は農水省もどちらかというとこの方針だと思っていました。(今はありませんが)財政諮問会議でも農業関係は「もっと大規模・低コストにして海外競争力をつけるべきだ」のような意見が多かったですし、加工用米の大増産などは低コストでやらなくては意味がありません。


 ところが新聞記事の山田農水相のコメントを見る限り、彼はこの(農業人口が減少した)事態を「問題だ」と考えているようです。まあ、問題だと思うこと自体はかまわないんですが、つまり何がいいたいのかというと、農水省としては結局どういうスタンスで農業政策を進めていくの?という根幹の部分が全くわからないのです


 「農業に携わる人々の頭数を増やして、地域の特色を生かした個性豊かな農業を目指したい」のか、「時代の流れに沿って大規模・低コストの農業を導入し海外製品との価格差を少しでも縮めて自給率を高めるような農業を目指したい」のか、まあこれは今考えたのでこんな意見ばかりあるのではありませんが、なんにせよ(別に山田だけに限りませんが)農水省からそういう哲学が見えてきたためしがない。
 というかもっと正確に言えば、口では「小規模農家も全てが幸せになるよう保護していきたい」といいつつ実態は「大規模、効率、切り詰めろ!」のように言ってることとやってることが正反対な態度ばかりで、もうこうなると信用するとかどうとか言うレベルの話ではないのです。


 だいたい、上に挙げた記事で山田農水相が言っている戸別所得補償の話がまさにそうで、彼はこれが農業人口を増やす策だ!と思っているようですが、何を言ってるのやら。戸別補償で出てくるお金なんて、そのぶん米価が下げられてしまえばあっという間にパーです。この制度は米価の値下げ材料にしかならないでしょう


 農水省は、山田は、もっと農政に対して態度を明確にすべきだと思います。もっとも明確にすると、例えば小規模農家の票を失ったりするんでしょうけど、そんなのがほかの分野でももうどんだけ色々なものの足を引っ張ってきたのか・・・

 現在ネット上の、特に医療業界や科学業界ではホメオパシーに関する話題でもちきりといった状態ですが、その中心にいるのはまず間違いなく、朝日新聞社特に長野剛記者でしょう。


 朝日新聞のネット版医療ページ「アピタル」 ではホメオパシー問題に関してほとんど非のうちどころの無いような記事及びブログエントリを連発し、その動きに反応してかどうかはわかりませんが(少なからず影響はあるだろうが)日本学術会議、日本医師会、日本医学会などそうそうたる団体が「ホメオパシーは荒唐無稽だ」とする声明を発表し、しかもアピタル編集部はそれらの会見をツイッター(http://twitter.com/asahi_apital/ )を通して実況するという試みまで見せ、GJと言う声は引きも切れません


 これらの動きはほとんど衝撃的です。発端には痛ましい事件があったとはいえ、もともとホメオパシー批判、あるいはもっと大きくニセ科学批判などは長年行ってきた人がいるとはいえ、一般にはほとんど浸透せず、むしろ詐欺的なニセ科学・ニセ医療の勢力はどんどん広がっているかのように見えていたからです。
 ところが今回、ホメオパシーに対して明らかに、強力なブレーキがかかりました。朝日新聞は本紙の1面トップとしても扱い、今までホメオパシーなんか知らなかった層にも確実に影響を与え、ホメオパシー団体当人もほとんど青息吐息に見えます。これまでほとんど動かなかったものが、ほんの数週間でこれだけ動くのを見るのは痛快です。そして先ほども言ったようにこの中心にいるのは朝日新聞社で、大手マスコミの力強さをまざまざと見せてもらった感じです。


 これまで医療問題を扱う人々の間では、マスコミに対しては「まずこれまでの報道について謝罪しろ。全てはそれからだ」という意見が強くありました。ところが(責めるわけではなく、そもそも朝日は医療報道に関しては「やれば出来る子」扱いでしたが)、朝日新聞社は謝罪などしていませんが、大きな賞賛を得ています。ホメオパシー団体やホメオパシーに傾倒している個人からは批判されていますが、それらにも正面から応えていて、その態度もカッコイイ。
 今の世の中には自然・天然をわけもわからず賞賛する、かなり残念な風潮があり、ホメオパシーはそちらに近い理念を持っています。でそれを批判するような記事はいろいろ難しいものがあったんじゃないかと思うのですが、一方で「よくぞやってくれた」と思う人もいるし、何よりそんな「誤解」はどんどん潰していった方が結局は社会の利益になります。


 今回の朝日新聞社・長野記者の記事にはバックボーンとして、丁寧で妥当な取材があったことが伺えます。それは考えてみれば当たり前のことのようですが、しかしマスコミがマスゴミなどと言われてきたのは、そんな気配が見えなかったことが原因でしょう。報道各社はこれこそ真のサクセスケースとして取り入れていくべきでしょうし、そういう方面へ舵取りできれば低迷する出版業界にも追い風が吹くと思います。「500億で足りようから金を出せ」などと言うよりよほどいいですよ。


 もしかしたら今年は、ニセ医療に対する新しい夜明けの年になるのかも・・・と言う人がいますが、大手マスコミもその気になれば今年をものすごく良い年にすることが出来ますよ。きっと。


 なんかエラソーな話になったけど。